借金不払い過去9年で最高に=金融政策のあおり受け=上半期は前年比22%増=金銭管理は女性に軍配?
ニッケイ新聞 2011年7月14日付け
金利の引き上げやインフレなどの影響で、上半期の借金の不払いが前年同期比22・3%増となり、2002年以降最大の増加となったと12日付伯字紙が報じた。クレジットカードなどの支払が遅れた例は62%も増えており、消費加熱のマイナス面が表れている。
個人向け融資の拡大やインフレによる支出増で国民の借金額が増えているとの報道は6月にあったが、Serasa Experianが11日に借金の不払いが前年同期比で22・3%増と発表した事は、国民の購買力低下などを別の形で示している。
2008年の国際的な金融危機からの早期脱出を可能にしたのは国内消費の過熱だったが、国内消費を支えた個人融資やクレジットカードなどの多用が、インフレ抑制のための金融政策と共に借金地獄を招いたというのは皮肉な現象だ。
消費加熱に伴うインフレ抑制のための経済基本金利(Selic)や金融取引税の引き上げは昨年末から上半期まで継続して行われているが、これにより銀行からの融資やクレジットカードなどの返済額も増えた事が、インフレによる支出増と重なって、借金返済をより困難にしているというのが、専門家の見解。
銀行からの貸付返済の遅れは7・42%増とまだ小幅だが、クレジットカードや金融業者、電話や電気水道などのサービス料、小売店への支払いの遅れは62%増えているという。
クレジットカードや金融業者からの貸付は金利が高いため、一部しか返済できずに借金が雪ダルマ式に増える例も多い。また、Selic引き上げで長期融資が減り、返済額が大きくなった事も不払い増大の一因だ。
7日付エスタード紙などによれば、上半期のポウパンサ引き出し額は預け入れ額を82億レアル上回り、ポウパンサ総額も30億レアル減少している。これは、より高い利子がつく投資ファンドなどへの移行と借金返済のための預金取り崩しの両面があるとされ、不動産購入などのための融資に向ける資金枯渇に繋がる懸念も出ている。
一方、借金不払いは男性の方が多く、収入が高くなるほどその傾向が強いとの報道は6月18日付グローボサイトなど。農業融資を除いた場合、男性の借金不払いは女性の1・5倍。月収500レアル以下の人の場合は男女の差はないが、月収4〜5千レアルでは、男性の不払いが女性より40%多くなる。
但し、年齢を加味した場合、40歳以下では女性の不払いの方が男性より多く、若いほどその差が大きいなど、年齢と共に生活形態や消費傾向も変化する事を窺わせる。