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移民した祖父母に感謝=初の日系司教に赤嶺エンジ氏=叙階式で1千人が祝福=母ローザさんも笑顔で参列

ニッケイ新聞 2011年7月14日付け

 初の日系司教が誕生——。カトリック教会(ローマ教皇・ベネディクト16世)が赤嶺エンジ氏(洗礼名ジュリオ、三世、48)を司教に任命したことを受け、叙階式(就任式)が9日午後3時から、サンパウロ市セー大聖堂で執り行なわれた。サンパウロ大司教区(ドン・オディロ・シェレー大司教)管轄内のラッパ教会で補佐司教となる。就任あいさつで赤嶺司教は、「努力を絶やさず、任務を果たしたい」と語り、ニッケイ新聞の取材には、「私が最初で最後にならないことを望みます」と、さらなる日系人司教の誕生にも期待を寄せた。

 父方の祖父母が沖縄県、母方は熊本出身。パウリスタ線ガルサ市で生まれた。
 79年、パラナ州の神学校で学び、最初の叙階(聖職者に任命されること)を翌年に受ける。
 サンパウロ、パラナ両州で司祭などを務め、95年、ローマのグレゴリアン大学で神学修士号、05年、同大で組織神学博士号取得。聖パウロ・アポストロ教会管区(パロチーノ会派)の元管区長も務めた。
 叙階式には、州内外から1千人以上が出席、複数のメディアも取材に駆けつけた。
 教会関係者のみならず僧侶など他宗教の関係者、日系団体代表者が出席。アウダ・アントニオ聖副市長、野村アウレリオ市議も姿を見せた。
 賛美歌が響く厳粛な祭事の後、シェレー大司教が赤嶺氏の司教就任を宣言すると、大きな拍手が沸き起こった。涙を見せる人もいた。
 赤嶺司教はあいさつで、「責任の重さを実感している」と表情を引き締め、「沖縄から移住、苦労のなかで洗礼をうけた祖父母がいなければ今の私はない」と自らの信仰の道を振り返った。
 式典後壇上から降りた、和やかな表情の赤嶺司教を囲んだ出席者の大きな輪ができた。
 司教とともに祝福を受けた母のローザさんは、「高木は風に折らる、との言葉にもあるように地位が上がればそれだけ困難に遭う」と息子の今後を思いやりながらも、「とても幸せです」と満面の笑みを浮かべた。

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