ホーム | 特集 | 【日伯援護協会】充実する人間ドック=生活習慣病の予防に=40歳以上はご利用を=応対、結果も日本語で

【日伯援護協会】充実する人間ドック=生活習慣病の予防に=40歳以上はご利用を=応対、結果も日本語で

ニッケイ新聞 2011年8月10日付け

 サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)が創立50周年記念事業として09年に完成させたリベルダーデ医療センター。2階全フロアーを使った人間ドックの施設が好評だ。サンパウロ市中心部という好立地に加え、日本語で日本と同レベルの検査が受けられる。結果内容が日本語でも記載、日本での診療でそのまま使えるため、昨年は日系進出企業85社から利用者が訪れている。

 身体測定、総合診察、血液、血液像(白血球分画)、尿、循環器科、画像診断、内視鏡、眼科など40項目以上にわたる各種検査が含まれる。
 もちろん、予算などによって独自のコースを組むことも可能。皮膚、耳鼻、眼科、子宮がん、乳がん検診などオプション検査も充実している=詳しくは別図参照=。
 予約の電話、メールから日本語OK。日本語に強い医師や担当者が対応するため、安心して検査を受けることができる。

本紙記者が人間ドックに挑戦!

 本紙男性記者がマスターコースを受けることになった。シニアコースとの違いは、前立腺検査の有無のみ。
 身長172センチ、体重75キロ。煙草は吸わないものの、肉も酒も大好きで運動という運動はしていない。酒の後のラーメンも嗜む。メタボ気味といわれても、まあ否定はしない36歳。
 前日午後9時から、飲食、喫煙、もちろん飲酒はもちろんダメ。緊張のせいか、お酒を飲んでいないせいか、なかなか寝付けない夜を過ごす。
 事前に渡された検尿、検便容器を忘れずに持ち、ちょっと早めの午前6時40分にリベルダーデ医療センターへ到着。
 まだ診察は始まっておらず、いそいそと仕事の準備を始める職員を眺めていると、人間ドック担当のキミコさんが流暢な日本語で「おはようございます〜では行きましょうか?」と飛び切りの笑顔で迎えに来てくれる。

非日系助手らも日本語で

 移動が楽なように2階全フロアーを人間ドックのために充てており、5部屋ある更衣室はおよそ4畳半ほどの広さ。シャワー、トイレ完備、それもウォシュレットなのだから嬉しいではないか。ただ検便のために無理にオツトメしたばかり。使えないのが悔しい。
 指示に従い、用意されたコップの水2杯を飲み干し、ガウンに着替え、スリッパで早速採血。
 「オハヨウ〜」。非日系だが日本語を勉強しているというアリアーナとクリスチアーニさんに腕をまくられる。「イタクナイネ〜」「ハイオワリ」とニッコリ。

初体験! ズブリと触診

 「あなた36歳? 早いよ〜40歳からでいいんじゃない?」。泌尿器科の小賀オズワルド医師(64)の診察を受ける。35年のベテラン。絵を描きながら丁寧に説明してくれる。
 「超音波で膀胱、前立腺の大きさが分かる。PSA(血液検査)はもっと詳しく結果が出ます。腫れていたら触診でも分かるからね。さ、その台に上がって、ズボンとパンツ下ろして!」
 え! もしかして? と思う間もなく、先生の指が体内に。ウ〜ン。
 「痔もないし、前立腺も腫れてない。大丈夫」と有難いお墨付きを頂きながら、パンツをずり上げる。ウ〜ン。
 小賀先生によれば、以前ブラジルに住む70歳以上の100人を検査したところ、5人に前立腺ガンが発見されたとか。
 「日本では0・3%が平均。その人たちは30年以上ブラジルにいる人。つまり食生活が大きく関わっているのです。発見するのが早いとすぐ治ります。ただ親族に前立腺ガンだった人がいる人は、遺伝で確率が高くなるので定期的に検査を受けた方がいいですね」
 身長、体重、腹囲などの身体測定、心拍数、心電図検査を済ませる。

もしかして脂肪肝!?

 不摂生などで一番負担のかかるのは内臓だ。腹部エコーの担当は、坂尻文雄先生。大阪大学で超音波検査の研修を受けたこともあり、専門用語にも精通している。
 「内臓の各部分が炎症、変形がないかを見るわけです。肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、脾臓、前立腺に異常がないかな〜。血管も見えるので静脈瘤なんかも…」。モニターを見ながら、ソフトな口調で続く説明が止まる。
 「せ、先生??」
 「う〜ん、これは脂肪肝の可能性がありますねえ…白い部分が見えるでしょう。とはいえ、血液検査と照らし合わせないと何ともいえませんが」
 ガックリ。もしかするとこれから酒も飲めず、フェイジョアーダもライト、ピカーニャの旨い脂も取らなければならないのだろうか——。

苦しくない胃カメラ検査

 うなだれながら、次の部屋に行くと胃カメラ検査だ。「日本ではやったことあるの?」と雨宮ワルテル先生。そういえば一度だけ。かなり苦しかった気がする。
 「あれね…日本だけじゃないかな。アメリカでもヨーロッパでも全身麻酔で寝てるうちにやるんですよ」
 「ハイ、ネテクダサイ〜」とヴァネッサ助手が腕に麻酔薬を笑顔で注入。「もう意識なくなるからね〜」という先生の声が記憶の最後、気がつくと、全てが終わっていた。
 30分ほど経っていたらしい。なんとも不思議な気分だ。待合室で1時間ほど寝たあと、心臓超音波胸部、腹部レントゲン検査、ふらつきながら負荷心電図検査があったが、ほぼ記憶がない。

ご褒美? 豪華な軽食

 「お腹空いたでしょ?ゆっくり食べてね〜」
 キミコさんに案内され、食堂に。お椀に入ったそば、ヤクルト、各種ジュース、フルーツサラダ、おにぎりなど、よりどりみどり。ぼんやりしながら全てをチェック。そばつゆの甘みが旨い。
 最後に、血管や網膜、視神経をチェックする眼底検査。そういえば、途中瞳孔を開かせるための目薬を入れていた。
 新垣ワルテル先生の「老眼になるまでOK!」との診断結果もらって終了。
 テキパキと検査は行なわれ、無駄な時間もなかった。時間を見ると午後1時前。2週間後に検査結果が郵送され、それをもとに医師との面談もコースに含まれている。
 何のためか、正常値かどうかを日本語で聞きながら検査を受けたため、非常に満足だった。
 ただ気になるのは脂肪肝。発見が早かったから良かったといえるのだろうが…。

image_print