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割烹木下=大震災品不足乗り越え=当地の素材で新メニュー

ニッケイ新聞 2011年8月26日付け

 「よりシンプルで、素材を生かしたメニューを用意することで、日本人にもっと利用してもらいたい」。サンパウロ市の日本食レストラン「割烹木下」は新メニューの提供を始めるにあたり、村上強史オーナーシェフ(42、北海道)がそう説明した。新メニューは「玉子豆腐」「割烹酢牡蛎」「焼き茄子」「焼きププニャ(ヤシの実)の梅ダレ添え」「マグロの山かけご飯」ほか数品で、当地の食材の味を生かした伝統的な日本料理となっている。
 震災の影響で日本食材の輸入が止まっていることに関しては、村上シェフは「それをマイナスととらえず、無いならば無いで、ブラジルにある食材を使っていかに美味しく作るか、その工夫が重要。むしろチャンスだととらえています」と前向きな姿勢を強調。
 酢牡蛎は醤油、レモン、オレンジと昆布、かつおぶしを混ぜて作ったぽん酢が効いた一品。ププニャは筍のような食感で、梅ダレとよく合う。マグロの山かけご飯は、出汁でよくのばしたブラジル産の山芋を、少し醤油をかけてあっさりと頂く。
 寿司の醤油は店特製で、酒、みりんと煮ることでアルコールを飛ばし、昆布とかつおぶしを加えている。「シャリの味を引き立て、塩辛くなり過ぎないようにしている」というこだわりだ。「美味しいので醤油だけ飲む人もいます」と村上シェフ。
 同店が誇る看板メニューは創作和食「おまかせコース」。飲み物、サービス別で「松」(7皿1デザート、230レ)、「割烹」(9皿1デザート、290レ)の2種ある。
 品目はその日の素材の仕入れによって変更される。食べたいもの、苦手な食材などを伝えれば、それに応じて調整も可能だという。
 「おまかせコース」はリベルダーデの旧店時代に村上シェフが始めたもの。08年2月にオープンした新店ではこの路線が中心になり、現在、非日系の富裕層が顧客の大半を占める。
 「お客さんには料理を食べてもらうだけでなく、調理の様子も見てもらいたい」との考えから、カウンターは厨房が覗けるオープンキッチン形式になっている。村上シェフは、「ぜひ多くの日本の方に利用していただきたい」と話している。同店住所=R. Jacques Felix, 405 – Vila Nova Conceicao、電話=11・3846・7327。

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