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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年8月31日付け

 〃平和の使者〃かもしれない。「お芝居デリバリーまりまり」(7面に詳細)の俳優から「伝書鳩の役割もするつもりです。浜松市内のブラジル人学校がある地区で、外国人と地元住民との対話の機会として、まりまりがこちらで見聞きしてきたことを伝えたい」との話を聞きながら内心そう思った▼池上重弘教授がアドバイザーをする日伯交流協会、教鞭をとる静岡文化芸術大学がともに所在するのはあの浜松市。日系ブラジル人にとってある種、鬼門ともいえる場所だ▼デカセギブームが始まったばかりの91年1月、人文研年表には「浜松市内のスーパーで万引き被害続出の為、ブラジル人お断りとの表示が出現」、92年10月には「湖西市内で日系人就労者に反日系『帰国勧告文』が貼り出される」とある。湖西市は浜松の直ぐ隣だ▼極めつけは99年に浜松市で起きた女子高生ひき逃げ事件で、桧垣ミウトン・ノボル容疑者が帰伯逃亡して初の国外犯処罰の裁判がサンパウロ市で行われたこと。05年に浜松市で起きたレストラン店主殺害事件(ブラジル人容疑者は帰伯逃亡)もある▼この件は、05年に湖西市でフジモト・パトリシア容疑者が運転する車との衝突事故で、当時2歳の娘を亡くした山岡宏明・理恵夫妻によって両国間での犯罪人引き渡し条約締結を求めて70万人もの署名運動に発展した▼日伯を騒がせた事件の多くが、なぜか浜松市とその周辺で起きた。別に当地と険悪な関係とは思わないが、どこか日系ブラジル人の〃鬼門〃という感じがする▼「まりまり」の演技を素直に楽しむのと同時に、日系社会の声を彼らに託し、仲直りの橋渡し役〃平和の使者〃になってもらったらどうか。(深)

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