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お芝居デリバリーまりまり=老ク連でブラジル初公演=約60人の笑い声響く=「演技に力溢れていた!」

ニッケイ新聞 2011年9月7日付け

 【既報関連】東京を拠点に活動する俳優集団「お芝居デリバリー・まりまり」の2人と、サポート役の静岡文化芸術大学国際文化学科長の池上重弘教授が1日、リベルダーデ区のブラジル日系老人クラブ連合会(五十嵐司会長)会館でブラジル初の公演を行った。集まった会員ら約60人の前で熱演し、来場者と一体になった芝居が繰り広げられた。

 「まりまりさーん!」という観客の掛け声の中、池上教授がピアニカで童謡「桃太郎」を吹きながら3人が賑やかに登場。同教授がプロジェクト発足に至った経緯やグループについて説明。まりまりの萩原ほたかさんは、「初めてのブラジル公演でドキドキしています」と挨拶した。
 畳一畳分のスペースで、衣裳は黒の上下。舞台は設置せず、道具、照明や音響も使わない。2人で一人何役もこなし、効果音も口で言うまりまりの芝居に、観客は興味深そうに見入っていた。
 まず「金の斧銀の斧」「浦島太郎」を披露、2人のコミカルながら高い演技力に、大きな拍手が送られた。特に、日ポ両語を織り交ぜた台詞は笑いを誘っていた。
 続いて、学生時代にジャズピアノを弾いていたという池上教授がピアニカで、まりまりの寺本雅一さんがロシアのトゥヴァ共和国の弦楽器、イギルで「浜辺の歌」を演奏。「歌ってもいいですか?」という声が上がり、観客は演奏に合わせて歌い、和やかな空気が流れた。
 次に、ウクライナ演劇祭に参加したさいに演じたという「鶴の恩返し」を、ほたかさんが一人芝居で披露。寺本さんがハープで音楽と効果音を奏でた。一転してシリアスな雰囲気の芝居に、観客の目が集中した。
 最後の演目は「大きなかぶ」。五十嵐会長や観客の2人の女性を巻き込み、最後には皆一緒にかぶを抜くなど、全員が芝居に参加。会場は大きな拍手と一体感に包まれて終了した。
 その後は熱心にアンケート用紙に書き込んだり、ほたかさんが持参した日本宛てのエアメール封筒を持ち帰る観客の姿がみられ、まりまりの2人は訪れた人々と笑顔で言葉を交わしていた。
 「とても良かった!」と手放しに賞賛した遠藤雪子さん(86、大分)は「演技に力が溢れていた。こちらもエネルギーをもらいました」と目を瞠りながら話した。村上ことじさん(67、広島)は、「舞台装置が何もなくてもすっと芝居に入っていけて、本当に素晴らしかった」と絶賛した。
 公演を終えた寺本さんは、「来るまでは色々なことを想像していましたが、一世の皆さんはとても元気で、こちらも元気をもらいました」と安堵した様子。ほたかさんは、「楽しかったです!」と笑顔を見せた。一行はその後、スザノ、ピラール・ド・スールでも公演を行った。
 また8日午前11時から静岡県人会(R. Vergueiro, 193, Liberdade)で最後の公演を行うにあたり、多くの来場を呼びかけている。事前申し込み不要で入場は無料。一行は8日夜、日本へ向けて出発する。

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