ホーム | 日系社会ニュース | 春の叙勲=総領事公邸で厳かに伝達式=文協でも200人が祝福=渡部和夫氏「ブラジル発展させたかった」=池崎博文氏「帰化しても愛国心強く」

春の叙勲=総領事公邸で厳かに伝達式=文協でも200人が祝福=渡部和夫氏「ブラジル発展させたかった」=池崎博文氏「帰化しても愛国心強く」

ニッケイ新聞 2011年9月23日付け

 在聖日本国総領事館による『2011年春の叙勲』の伝達式が21日、総領事公邸で執り行われ、池崎博文(84、熊本)に旭日単光章、渡部和夫(75、二世)両氏に旭日中綬章が授与された。二人の親族をはじめ、友人、コロニア団体関係者ら約40人が出席した。同日夜には文協貴賓室で祝賀会が開かれ、約200人が二人の晴れの日を喜んだ。

 大部一秋総領事は祝辞で「お二人の努力する誠実な姿が、日伯関係の向上に大きく貢献した」と述べ、勲章、勲記の伝達が行なわれた。
 池崎さんは、1927年熊本生まれ。34年サンパウロ州バストス市に移住後、洗濯屋経営を経て、化粧品会社「池崎商会」を設立した。
 リベルダーデ文化福祉協会(ACAL)会長のほか、天皇皇后両陛下歓迎実行委員会副委員長(97年)、ブラジル日本移民百周年祭で記念行事実行委員会副理事長(08年)。
 本紙の取材に、「(今回の受賞は)先輩や皆さんのおかげ。今の日本は愛国心を失っている。僕は帰化した今でも日本人であることを誇りに思い続け、日本人の代表たる気持ちで生きてきた」と胸を張る。何よりも「団結を重んじる精神」を大事にしてきたという。
 渡部さんは、36年サンパウロ州バストス市で生まれた。両親は愛媛県出身。59年にサンパウロ総合大学(USP)法科卒業後、南伯産業組合の顧問弁護士を務めた。
 62年、日系人初のサンパウロ州裁判所判事に就任、各種法律の草案委員を務め、民事訴訟の法令化に寄与した。
 ブラジル法学研究センターおよび伯日比較法学会を設立、在日ブラジル人問題対策を法的側面から支援した。文協終身評議員、同協会改革準備委員会委員長。
 「日本人の顔だが、ブラジル人という意識を持ち、この国を発展させたいと思ってきた」と自らの人生を振り返り、「ブラジルは様々な国の文化を取り入れ、新しい文化が生まれつつある国。だからこそ日本文化も、その良さを残すことで貢献できる。これからも日伯関係の構築に尽力したい」と話した。

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