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全伯川柳大会=思い思いの「夢」を詠み=参加者40人が頭ひねる

ニッケイ新聞 2011年9月24日付け

 ブラジル川柳社(荒井花生主幹)が主催する『第58回全伯川柳大会』が18日にブラジル日系老人クラブで開催され、サンパウロ市、ロンドリーナ、オザスコ、スザノなどから約40人が集い、和やかな雰囲気の中で創作を行なった。
 大会は交告余碌、鈴木甘雨さんの司会で進行し、初めに先没柳人に黙祷が捧げられた。柿嶋さだ子大会実行委員長が開会の辞を述べ、荒井代表も「皆さんのご支援に感謝し、人生の思い出を飾る1ページとなることを願います」と挨拶した。
 各吟社代表の挨拶では、ロンドリーナ親和川柳吟社の山崎栄治代表は、「来年ロンドリーナで開催される大会にも是非来てください」と呼びかけ、アプラカナ双葉川柳会の上口一歩代表も「川柳を絆とし、皆が楽しく参加できる会」と喜んだ。
 続いて最高齢者の長谷とみえさん(103、パ州ローランジャ市)に表彰が行なわれ、代理で出席した孫佐藤マリオさんが記念品を受け取った。
 また、同社はブラジル唯一の川柳誌「ぶらじる川柳誌」を刊行しているが、今立帰編集長は、「90人に配布しているが、投句者は40人ほど。もっと投句して盛り上げてほしい」と呼びかけた。
 郵送による事前投句、来場直後に投句する当日投句、「夢」をテーマに席題投句の3種を実施。参加者らは辞書を片手に頭をひねりながら創作を行なった。
 午後は健康表現体操でリフレッシュ、続いて選句、成績発表があり、入賞者らにトロフィーが送られた。
 入賞結果は次の通り(敬称略、上位5位まで、事前投句は特定選のみ掲載)。
 【席題の部】題「夢」
 青春の夢を散らした開拓地(斉藤立穂)
 老いて尚夢がいっぱいある至福(坂口清子)
 この汗も明日の夢があればこそ(青井万賀)
 夢多く持って貧しさ気にならず(荒井花生)
 信念を崩さずつらぬく夢一つ(国兼立子)
 【当日投句の部】題「柱」
 鼻柱折れば行く手に広い道(中西笑)
 子の成長柱の傷が物語り(坂口清子)
 家族愛一家の柱支え合い(那須アリセ)
 寄りかかる柱が欲しい婆ひとり(渡辺文子)
 次々と柱変われて国変わらず(新川一男) 
 【事前投句の部 特定選】
 ◎題「作る」
 年輪の重みが作る人情味(谷沢和夫)
 生き甲斐を貰って作る一行詩(荒井真砂尾)
 作品に人徳の美が偲ばれる(富松貴恵子)
 夢一つ目ざして句作えに励む日々(国兼立子)
 闘魂の作った土台子に残し(桜井しずえ)
 ◎題「ひっそり」
 この試練ひっそり耐えて夢捨てず(那須アリセ)
 ひっそりと暮らして心のトゲを抜く(高田早波)
 ひっそりと寄る年波の音を聞く(西村瑞穂)
 ひっそりと胸にはぐくむ夢一つ(桜井しずえ)
 表面はひっそりと内に炎秘め(山崎栄治)

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