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援協Dr南の=病は気から!?=第2回

ニッケイ新聞 2011年9月27日付け

 だから医者は、出来る限りの治療を尽くさなければなりません。このようなケースが医者の判断を戸惑わせ、誤らせる発端となりかねないのです。この3種類の精神病は心身症のプロフィル(特徴)の中に入っていないということです。
 あらゆる病気は、多くの原因が絡まっています。精神はその中の一つであって、どれほど干渉するかは人によって変わってきます。それであっても多くの医者が、精神の存在を見逃すか忘れたりするのです。だから医者以外の人も知っておくことは好ましいと思うのです。
 今回は、精神的なことが根源で実際に身体に変化を及ぼしている場合、心身症又は精神身体病と呼ぶことにしました。
 次に、身体化(Somatizacao)とは何でしょう? 精神的力が身体に影響を与え、あげく臨床検査及びX線(Raio X)、TC(Tomografia Computalizada)等で判定され、身体上の傷害が病症として成立する時を意味し、これを身体化(Somatizacao)と呼び、精神身体病もしくは心身症(Doenca Psicossomatica)と定義しています。

(2)定義(Definissao)

 心身症(精神身体病)とは、感情、心理的な原因から神経系機能の仲介によって、私達の特定の身体の器官に現れる症状を形成する状態のことです。
 心身症と聞けば、私たちの頭にまず浮かぶのはストレス(Stress Ou Estresse)です。この言葉はカナダ人の生理学者、ハンス・セリエ(Hans Selye)が1950年に初めて使い、多くの病気の原因として重要性を呼びかけました。
 しかし、その時代ではこの言葉は単なる流行語として扱われ、作り上げられたストレスという言葉は、高級、企業の重役のような偉い人(Vip)に対して使用すると思われていました。
 世界は社会経済的発展に伴い人口が増加し、社会、自然環境が変化し、我々人間にも精神、身体に影響を与え、今日、この環境の変化が実際に多くの病気を引き起こす牽引車となっています。
 例えば、サンパウロのような大都会の近代的な生活においては、ストレスからは逃れられないでしょう。
 それでは、どのようなメカニズモ(Mecanismo)でストレスは病気を引き起こすかわかりやすく説明するために、ある一人のセールスマンをモデルにしてお話ししましょう。
 Aさんは、とても有能で実力のあるセールスマンでしたが、急激な貿易の変化が彼の販売率を大きく下げました。
 すると、その上司は事情もわからず激しく下品な言葉で叱りつけ、辞職まで口に出し、彼を戒めました。
 彼は激しい怒りで反射的に同じように怒鳴り返したかったのですが、職を失う苦しみを、家族の柱として知りつくしている彼は怒りを抑え、自分の不届きと認め、謝ることにしました。
 そして表面的には収まりましたが、数日後、このセールスマンは初期症状の突然激しい喘息気管支炎に襲われました。
 もちろん専門医を受診し、専門の検査を行い確かな診断のもとに適当な治療を施し全治しましたが、薬の服用をやめた直後、再発、また、治療という境遇の日々が数日間続きました。
 さて、この気管支炎は仕事上のトラブルと関係しているでしょうか? あるいは単なる偶然でしょうか? 無理矢理に閉じ込められた鬱憤(ストレス)が、気管支炎という武器で、意識の世界に対談を申し込んでいると解釈しても、決して想像過ぎではないと思います。
 当然のことですが、この肺専門医のようにあらゆる病症の可能性を想定し、治療に取り組んでいかなければなりません。ストレスが主な原因であるとしたら、どのような方法で病症が現れるように働きかけたのでしょうか?(つづく)

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