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リ街の美化運動に本腰か=各コロニア集め公聴会=野村市議が音頭取り=「住民の意識変えたい」

ニッケイ新聞 2011年9月30日付け

 「リベルダーデを美しく」——。野村アウレリオサンパウロ市議(PV)が牽引するリベルダーデ区の美化運動『リベルダーデ・リンパ(Liberdade Limpa)』による各コロニアを招いた公聴会が22日午前、サンパウロ市議会の会議室で開かれた。ポ、日、韓、中4カ国語によるゴミの収集方法のマニュアル配布などを通して、住民や経営者らの意識改革を求めていくことが確認された。野村市議は、「最も重要なのは住民の意識改革。最良の方法で実現するために意見を聞き、最初の一歩を踏み出したい」と開催の主旨をのべた。

 リベルダーデ文化福祉協会の池崎博文会長、福井ニウトン副会長、木多喜八郎文協会長ら日系団体代表をはじめ、韓国、台湾系団体、同区を管轄するセー区役所、サンパウロ市都市清掃部(LIMPURB)、同区ロータリークラブなどからそれぞれ代表や担当者ら約20人が出席した。
 この運動は、14年のW杯、16年の五輪開催に向け、サンパウロ市の中心に位置し、観光地として名を馳せる同地区のゴミ問題の解決を目指し、野村市議の呼びかけで始まったもの。各コロニア代表が集まる公聴会は初。
 野村市議は冒頭、「家庭、商業ともにゴミの量を減らすべく、住民に訴えかける効果的なキャンペーンを行う必要がある」とした上で、「日本人やヨーロッパ人は道にゴミは捨てない。町を美しく保つという意識を住民に持ってもらうための教育が必要」とした。
 その一環として、ゴミの収集時間や業者の連絡先、ゴミ排出のルールや燃えるゴミ、不燃ゴミの分別、法令などをまとめたマニュアルを、4カ国語で作成し、各家庭や宿泊施設、企業などへの配布を検討していることが紹介された。
 池崎博文会長は、「ゴミの不法投棄問題は長年解決されていない。ゴミのコンテナも設置されないまま」と話した。
 台湾系団体を代表して出席した「客家会館」のパウロ・ウェイ氏は、「サ・ジョアキン街には決められた時間に収集車が通らないため、常にゴミが散乱している」と訴え、韓国系団体代表のジュ・イルセオ氏は、韓国人街ボン・レチーロ区について、「以前に比べてゴミ収集車が早く来るようになった。ゴミ排出に関する法令を翻訳し、新聞や雑誌で広報したが、だれも読まなかった」と、住民の意識付けの難しさを語った。
 区内を監査するセー区役所の西川パウロ氏は、「住民がゴミに関する情報を十分周知しておらず、不法投棄は、監査がなく人通りも少ない早朝に行われている」と現状を報告、「リベルダーデだけでなく市の問題。学校での教育も必要」との見解も述べた。
 キャンペーンは来月開始、次回の会合の早期開催も確認された。
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 サンパウロ市役所のウェブサイトによると、市では毎日平均1万7千トン、家庭ゴミだけで1万トンのゴミが出ているという。
 現在、サンパウロ市のゴミ収集を行っているのは「Ecourbis」「Loga」の2社。492の収集車で毎日1523キロ平米の土地を回り、約3200人が作業に従事している。同区は後者の管轄内にある。
 02年の法令で、一日200リットルのゴミを出す家庭あるいは業者は、特別に収集業者に依頼することが義務付けられており、守らなかった場合は罰金1レアルが科せられる。
 同区の収集時間は深夜で、午後6時以降に排出することが呼びかけられているものの、同区の商店は終業時刻になると収集時間まで待たずゴミを出すなど、それが守られていないようだ。

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