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日本財団=「夢の実現プロジェクト」=日系人協会 中井さんが最終選考で来伯

ニッケイ新聞 2011年11月1日付け

 日本財団からの助成で海外日系人協会が実施する奨学金プログラム「夢の実現プロジェクト」の選考が今年も行われ、担当の同協会業務部・継承日本語教育センターの中井扶美子主任が来伯、最終面接を先月16日にサンパウロ市で実施した。
 今回の9期生には、ブラジルから18人が応募、9人が最終面接を受けた。中南米各国、日本国内からは合わせて90人の応募があり、35人が一次選考を通過した。
 このプログラムは、将来居住国や地域社会の発展に貢献するための具体的な夢を持ち、日本で勉強したいという日系の若者に対し、日本への留学の機会を与えるもの。例年合格者は5人程度。
 期間は最大で5年間。奨学生には、往復航空運賃、留学機関の受験料、入学金、授業料、教材費等、生活費や通学定期代、医療保険費の諸経費なども支給されるなど、数ある奨学生制度の中でも手厚い。
 対象は中南米地域の日系人で、国籍や学歴、訪日経験は不問。近年はダンスや鍼灸士、美容関係などの専門学校に通ったり、日本太鼓連盟で和太鼓を巡回指導する奨学生もおり、「文化的な研修はJICAでも受け付けていない。留学機関の選択に制限がないのが魅力では」と中井さん。
 また日本語能力が低い場合でも、希望すれば日本語研修を半年〜1年間受講できるという。
 奨学生は留学中、勉強のかたわらブラジル人学校で進学アドバイスをするなどの社会活動も行っており、「デカセギ子弟の手本のような役割を果たしているのでは」。まだ数は少ないものの、OB会も形になりつつあるという。
 現在OBは約60人で、帰国した人、日本に残る人は半々ほどだという。大学で教鞭を取ったり、梨の研究をしたり、海洋関係のコンサルティングをするなど様々で、「大半が母国で留学した経験を幅広く生かしている」(中井さん)。
 今年の応募者は海外から33人、国内から58人と、東日本大震災の影響からか、海外からの応募が減少したという。
 中井さんは「意欲があって、何があってもやり通す強い意志、社会に貢献したいという意識が高い人にとって大きなチャンス。日本の教育機関は設備が整っており研究も進んでいるので、研究者肌の人にとってもよい制度だと思う」と、次年度からの応募を呼びかけていた。
 問い合わせは、同協会ウェブサイト(www.jadesas.or.jp)、電話(81=日本・45・663・3258)まで。

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