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全伯日語教師合同研修=自律学習、教材の工夫学ぶ=各地から64人が参加

ニッケイ新聞 2012年1月14日付け

 ブラジル全土に散らばる日本語教師の課題共有や親睦を目的とした『第54回全伯日本語教師合同研修会』が11日から3日間、ブラジル日本語センター(谷広海理事長)で行われた。遠くマナウスやブラジリアなどからも含め64人が参加した。
 初日の現職日語教師による実践発表では、サンカルロス市の文協で教壇に立つ菅原タイグアラ慶さん(19、三世)がインターネットを利用した学習法を紹介。「教材が不足する田舎だからこそ、ネットを積極的に利用すべき」と話した。
 日本語教育専門家の池津丈司さん(51、東京)は、2日目の講義で自律学習について説明。教師から生徒に教えるだけの一方的な教室運営ではなく「生徒同士で教えあい、教師も生徒から学ぶ姿勢を持つ『協働』の意識が大切」と提案した。
 また、「テストでの評価だけは『何々が出来ない』というマイナス面が目立ち、生徒の意欲を失わせる」とし、生徒自身が自己評価し、活動記録などを盛り込んで学習を振り返る「ポートフォーリオ(自己評価表)」作りを薦めた。
 続いて加藤リジアさん(39、二世)は、低コストで便利な副教材をテーマに講義し、クリアファイルをホワイトボード代わりに使うなど身近なものを多数紹介。「ゴミになる広告や容器を利用しているのでお金がかからない。学生に教材の色塗りなどを手伝ってもらえば楽しみながら、楽にできます」との話に参加者はうなずいていた。 実際に教材作りを体験し、休憩時間には、部屋一面に張られた見本の作り方を熱心に聴いていた。
 ブラガンサ・パウリスタ日本語学校で教師をしている植西晶子さんは「実際すぐに使えるアイディアを貰うことが出来て充実した研修会だった。今回の講義で出てきた工作など子供たちにやらせたい」と話した。
 ほぼ毎年研修に訪れるという中野マサ子さん(大阪、62)はプロミッソン移住地で45年に渡り日語を教えている。「教師が減少する中で、自律学習が大切になる。参考になりました」と語った。
 最終日は複式授業、個人レッスンなど教室形態でグループに分かれて催された意見交換の内容発表などが行われた。

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