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オイスカ=宮城海岸林の再生目指す=コロニアに協力呼びかけ

ニッケイ新聞 2012年2月15日付け

 東日本大震災で失われた宮城県名取市の海岸林の再生を目指し、公益財団法人オイスカ(中野良子会長)が『海岸林再生プロジェクト10カ年計画』を実施している。10年間で50万本の植林を目指す。
 海岸を覆う松林は長年、飛砂、塩害、強風、高潮から住民を守ってきたが、「今では潮風が直撃し、買ったばかりの自転車や10円玉がさびるほど」と来社した渡邊忠副理事長は話す。
 「海岸に近い仙台空港は東北の流通の中心。この状態では生活だけでなく、復興にも支障をきたす」と危機感を募らせる。
 悪化する被害に海岸林の必要性を痛感した住民からも「自分たちの手で林の復活を」との声が届くようになり、昨年5月に事業を開始した。
 被害面積は約3600ヘクタール、再生には約600万本の苗木が必要と見込まれている。まずは50万本を目指し苗木を生産。事業を担う農家に資金や資機材を支援し、被災者の生計支援にも繋げる。
 「目標は10年間で10億円を集めること。6月に開かれる国連持続可能な開発会議(リオ+20)でも事業を紹介する」。海外メディアも利用し、様々な機会を通じて呼びかける方針だ。
 マツは育苗でも3年、植樹後成木するまで約20〜30年はかかると言われることから「次の世代に残す、生きた遺産と思って地道にやる。日系社会の皆さんにも協力して頂きたい」と協力を呼びかける。
 当地資金集めの窓口となる宮城県人会の中沢宏一会長は「被害を受けた他の地域にとってもモデルケースとなる」と話している。
 事業内容はサイト=www.oisca.org/kaiganrinでも確認できる。

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