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亜国ブエノスアイレス=老人ホーム「合」誕生=日亜中合資で近代的設備

ニッケイ新聞 2012年3月9日付け

 【らぷらた報知=2月9日付け】世は高齢化社会の時代、在亜日系社会をも含めてアルゼンチンでも高齢者を対象とする新しい施設、老人ホームが出来るようになった。
 高齢者を収容する施設は新しいものではなく現在のような高齢化時代でなくとも古くからあったが〃養老院〃と言うような暗い響きを持った、体の良い〃姥捨て山〃の観があった。つまり本質的には〃厄介者払い〃だった。現在では「老人に余生を楽しく過ごしてもらおう」との敬老精神に代わって来ている。その為、施設も明るいものとなって来ている。
 最近、ブエノスアイレス市内にガオーナ街(Avda.Gaona)に近いニカーシオ・オローニオ (Nicasio Orono)1236番/38番(電話 4582—0770)に誕生した〃合〃というマークの老人ホーム「Fundacion AUNAR」もその一つである。
 去る1月21日、その開館式が行われた。中国系と日系とアルゼンチン系の三者合資の下に建設発足したもので〃合〃という漢字と〃AUNAR〃と言うスペイン語が示すように相互共存扶助の精神の下に設立されたのが特色となっている。男女を問わず老人の大敵は〃孤独〃であり〃愛情の欠如〃である。その点を考慮して建物は近代的にして明るく老人達が家庭的な雰囲気を味わえるように造られている。
 四階建てで〃永住者〃(一人用と二人用)用と暫定的住人用と一時的宿泊人用に分類されている上、老人同士や訪問者などが話し合えるサロンや食堂やその他色んな目的に使える場所があり、屋上には老人たちが自然に親しめるよう花壇がある。
 建物の壁は風景をテーマとする中国画に見られる「苔むす切り立った断崖」を思わせる彫刻と室内の壁に掲げられ絵画は、中国の山水画と日本の浮世絵と洋画の三種であるのもこの老人ホームが日亜中の合作であることを示している。
 また老人向き運動設備にも事欠かず、更に老人たちが退屈しないよう毎月、種々の行事や催しが企画されている。老人たちの世話に当たるボランティアも日亜中の出身者とあって同老人ホームのシンボル〃合〃の名称に背かない。何よりも明るいのが魅力的である。

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