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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年3月23日付け

 イペランジアホームの丸山ナツさんが亡くなった件(7面詳報)では〃謎〃が残る。いつから足が壊疽し始めたかだ。徳永さんによれば、まず看護婦が1月17日頃に「足が黒くなっている」ことに気付き、徳永さんに見せようとしたが、ナツさんが痛がって嫌がり見られなかった。ただし、徳永さんは靴下の上からのぞく脛の部分まで黒くなっていたことを視認した▼ところが、この看護婦に本紙が直接確認したところ、「23日朝にナツさんにシャワーを浴びさせている時に、足の先が黒くなっていることに初めて気付いた」と主張した。花城医師も「23日に初めて看護婦が気付いたこと。自分自身は足が黒くなっているのは見ていない」という。同施設では准看護婦がシャワーを毎日浴びさせていると聞く。おそらく誰かが本当のことを言っていない▼同医師は25日に病院に連れて行くように指示し、真っ黒な足を見たモジの病院の当直医は「手遅れだ」と宣告した。花城医師は、3日間で右足が膝まで壊疽することは「医学的にありうる」というが、モジの病院の当直医は「ありえない」とし、「放って置いた」と徳永さんが怒られた。娘としてはどんな気持ちか▼援協理事や医師が日夜、日系社会の福祉や医療のために頑張っていることはみなが認めることだ。この一件をもって全てをひっくり返すようなものではない▼ただし、組織が急激に拡大する中で、どこか官僚化(硬直化)した部分が生まれて〃血〃が通わなくなり、大組織ゆえの気の緩みが生じた可能性があることを、誰が否定できよう。たとえ大組織になっても、患者に寄り添う福祉の心は忘れずにいて欲しい。(深)

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