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日系文学会=武本文学賞22人を祝う=「〃文化の扉〃を開く」

ニッケイ新聞 2012年3月28日付け

 ブラジル日系文学会(武本憲二会長)が主催する第29回武本文学賞授賞式が25日午後、サンパウロ市の宮城県人会館で行われ、受賞した22人を囲んで約80人が祝った。最初に同会役員や会員、昨年の大震災の物故者らに黙祷を捧げた。武本会長は「今日はとても重要な日、これらからも素晴らしい作品を作りつづけて欲しい」と挨拶した。
 続いて受賞者が壇上に呼ばれ、各部門の選考委員から賞状や副賞が一人一人に手渡された。途中、川柳部門では投稿者が少ないために選考が中止された旨が司会から伝えられ、選考委員の柿嶋さだこさんから「次回は少しでも応募者が増えるよう、みなさん頑張りましょう」との呼びかけが行われた。
 受賞者を代表して小説部門入賞の中野義雄さんがマイクを握り、カリブ海の小島に仕事で2年間住んでいた時、夜にする事がなくひまを持て余していたことから、文章を書き始めた経験を語った。最後に「コロニア文学もそろそろ移民の苦労話を脱却し、南米大陸独自の新しい文学を目指してもいいはず」と意気込んだ。
 ポ語コント部門のジョゼ・アルベルト・ロペスさんは「誰にでも〃文化の扉〃を開いてくれる素晴らしい武本賞に心から感謝したい」とのべた。
 最後に司会の中田みちよさんが「来年は武本賞も第30回、ぜひみなさん投稿してください」と呼びかけた。続いて、安良田済さんが乾杯の音頭を取り、賑やかに歓談した。
【日本語部門】《小説》入選=中野義雄、佳作=田口さくお、《随筆》入選=小野寺郁子、佳作=中村茂、鎌谷昭、《短歌》入選なし、佳作=高橋勇三、谷口範之。《俳句》入選=広川ユキ、佳作=西朋子、《川柳》応募作品僅少のため選考なし、《詩》入選作なし、佳作=清水夕子、坂上美代栄、斉藤白憂、《翻訳》入選作なし、佳作=伊達すみえ、鯖戸みや。
【ポ語部門】《コント》入選=Gustavo Felicissimo、佳作=Jose Alberto Lopes、Silvana Brugni。《詩》入選=Gustavo Felissimo、佳作=Ivanilton Tristao Pereira、Regina Alonso。《ハイカイ》入選作なし、佳作=Sergio Francisco Pichorim、Sonia Regina Rocha Rodrigues。(敬称略)

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