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アチバイア・オルトランジャ協会=エコロジコ公園の定礎式=平中会長「30年来の夢」=2014年の祭り開催目指し

ニッケイ新聞 2012年3月29日付け

 「私の30年間の夢がようやく実現する」—。アチバイア・オルトランジャ協会の平中信行会長はしみじみと語った。開催30年以上になる「花といちご祭り」の規模拡大を目指し、同市ピーレス区に53万平米の土地を購入したのが20年前。起伏の多い土地で、計画準備だけで10万レアルがかかる大規模事業であることから反対の声も多かった。しかし農協や中小農家がどんどんつぶれていく中、「日系団体として何かを残したい」との思いで計画を進め、今月20日、ついに『エコロジコ公園』の定礎式にこぎつけた。「皆が度肝を抜くような公園を作り上げてみせる」と情熱を燃やしている。

 式典は神道・カトリック両方式で行なわれ、同市日系団体関係者らを始め、在聖総領事館の大部一秋総領事、ジョゼ・ベルナルド・デニグ市長、市会議員やサンパウロ州議員など約150人が出席した。
 様々な日本文化行事を企画するなど、町おこしに注力した小野敬雄元市長の息子・エミル市議会議長も出席し「市として協力するのは当たり前。父の意思を継ぎ、全面的に支援させてもらう」と強く宣言し、平中会長は目頭に涙をにじませた。
 工事開始は今月末〜4月初旬の見込み。「先ずはインフラを整えて、2014年までにはどんなことをしても祭りが出来る形にもっていく」と断言する平中会長。
 敷地内には花卉の展示場、鳥居や五重塔など日本建築、日本庭園、市との共営農地試験場など教育、文化、農業の3分野にかかる様々な施設を建設する予定。
 雨水を再利用するためのタンクや排水処理施設を設け、資金があれば太陽光発電も視野に入れる。「世界がエコを叫んでいる時代、やらなきゃ面白くない。環境に配慮した日系企業とも協力したい」と意気込む。
 1年中花を絶やさず、年に4〜5回は別の花祭りを開催する予定だ。客の倍加や観光地としての経済効果も期待される。すでに苗・種を提供すると大手販売企業も名乗りをあげている。
 「途中で資金が尽きたらどうするのか」との懸念を示す人もいるが、「全責任は協会がとる。それでも無理なら私が責任を負う」と答えてためらわない。大量生産の波に飲まれ、多くの農家や農協がつぶれていった。
 「僕は中小農家の代表として、あの人達が一緒に担いでくれた祭りをつぶすことができない」と強い思いを語った。

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