ホーム | 日系社会ニュース | 淑徳大から研修生8人=福祉、環境など各自のテーマで

淑徳大から研修生8人=福祉、環境など各自のテーマで

ニッケイ新聞 2008年8月9日付け

 ブラジルの福祉事情や生活習慣、環境都市計画などを学ぶため日本の淑徳大学(千葉県千葉市)が毎年実施している研修制度で今年、八人の学生が来伯した。来月十一日まで滞伯し、日系人家庭でホームステイをした後、パラナ州マリンガ市やクリチーバ市などで、障害者や高齢者介護、環境対策、地域福祉など、各自のテーマで研修にのぞむ。
 同研修は今年で二十三回目。研修生はじめ、同大学客員教授の佐々木陽明・浄土宗南米開教総監(在サンパウロ)、引率の三上浩さん(事務局)らが七日来社、それぞれ抱負をのべた。
 来伯したのは、社会福祉学科の深沢由香さん(21)、宜野座哲さん(28)、大川木線子さん(20)、実践心理学科の高根由香里さん(19)、人間社会学科の佐藤純さん(19)、人間環境学科の塚原茂之さんと野島千華さん、文化コミュニケーション学科の千葉萌さん(19)。
 「初めての海外体験」と話す深沢さんは、淑徳大学の初代学長をつとめ、サンパウロ市イタケーラ区の「こどものその」の創立者としても知られる長谷川良信氏の功績を学ぶ。アメリカや中国、ヨーロッパなどで短期留学の経験がある宜野座さんは「初めての南米での生活を楽しみたい」と笑顔を浮かべた。
 特別支援学校の教諭を目指している大川さんは「多民族国家であるブラジル国内の共生や暮らしぶりを学びたい」。高根さんは「四十日間もブラジルで研修できるのは特別な機会。多くのことを学びたい」と期待を表す。佐藤さんは「一世や二世など、世代別な観点も踏まえた日系人とブラジル人の関わりを知りたい」と話した。
 塚原さんと野島さんは、世界的な環境都市で知られるクリチーバ市で、都市計画のあり方を学ぶ。同じく同市に行く千葉さんは、「日本とブラジルの教育システムの違いなどについて学びたい」と述べた。三人は、同市の環境局長、パラナ州環境長官を務めた中村矗(ひとし)さんや、佐々木総監の息子で、移民の教育問題などに詳しいエドアルドさんから指導を受ける。
 佐々木総監は「みな良く勉強してきている。自己のテーマに縛られるだけでなく、ブラジル人の懐の深さと優しさも知り、グローバル化が進む福祉の社会で生かせる経験を学んで欲しい」とエール。引率の三上さんは、「無事に帰国してもらうのが第一。来年もこの制度を継続するため、それぞれ一生懸命に取り組んで欲しい」と話した。

image_print