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(4)=半世紀ぶりの再会で笑顔=地元コロニアの将来憂う

ニッケイ新聞 2012年4月17日付け

 会場では坂手実さんの説明の後、婦人部の皆さんが着物を着て「花笠音頭」を披露する傍ら、あちこちで再会や交流の輪が広がっていた。
 ふるさと巡りに約5年前から毎回車椅子で参加、「日本青年協会」の派遣で1959年に来伯した及川君雄さん(75、岩手)は同地在住の肥後フクエさん(73、鹿児島)と半世紀ぶりの再会を果たした。
 来伯したばかりの同協会派遣の若者は当時、イタケーラで果実の栽培を営んでいた吉岡省氏のもとに滞在することになっていた。同会派遣の男性と結婚し、後にボツカツに入植する肥後さんと及川さんは、その場で顔見知りになっていた。
 及川さんはその後イタケーラに2年半、インダイアツーバに6年滞在し、68年からアチバイア在住。専門はバラの栽培で、かつて何度か訪れ縁のあったボツカツへの訪問にあたり、会員らにバラの花を持ってきていた。
 「最初は大変だった。でも狭い日本でこせこせしているよりも、のんびりしたブラジルでよかったかな」としみじみと話す肥後さんは、及川さんと近況を報告し合い「(子供が独立して)夫婦二人になると寂しいね」などと語り合っていた。
 ふるさと巡り常連の神林義明さん、小山徳さん(ともに長野県出身)は、前回同様、積極的に訪問先の移住者に話しかけ、同郷で同地在住の中澤巻重さん(71)、上野実さん(83)らと写真を撮っていた。
 中澤さんは61年に来伯し、ブラガンサ・パウリスタに入植。パラナ州を経て、ボツカツには42年住む。「大学病院や工場があって、よい町ですよ」と満足そう。
 65年に同地に移り住んだ坂手実さんは「現在はほとんど二世で、日本語継承が難しくなっている」と真剣な表情を見せた。「日本語学校もあるが生徒は少ない。何を何のために教えるのかを検証し、組織のあり方を考え直さなければ運営ができなくなる」と危機感を募らせる。
 同地では一昨年前から市との共催で「友達祭り」という名の日本祭りを開催し、非日系の来場者を多く迎えている。「今はコロニアにとって大切な時期。ブームになっている今、日本文化を紹介しなくてはいけない」と思いを語る。
 文協には非日系を含む約100家族の会員がいるが、実際活動に参加しているのは約60家族に過ぎない。
 「創立当時も100家族ほど会員がいたが、住んでいた日本人のほぼ全員。昔は日本人なら会に入ることが当たり前だったが、今は違う。入ったらどういうメリットがあるかを考えるし、会長をする人もいない。寄付を募っても集まりにくい。なかなか難しいね」と語った。(つづく、田中詩穂記者)

写真=再会を喜び合った及川さんと肥後さん



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