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(3)=戦後発展したコロニア=梅の産地として名馳せる

ニッケイ新聞 2012年4月14日付け

 現在の同地コロニアのもととなる「コロニア・サンタマリーナ」が近郊にできたのは戦後、1950年代のこと。
 全国の農村青年の教育や指導者育成を目的に戦前に設立された「日本青年協会」(文科省、農水省所管団体)から、同会の会員でブラジルに移住していた故吉岡省氏(京都)が日本の青年を移住させたいという同会の申し出を受け、当地政府と交渉。200ヘクタールの土地を購入し、会員らを呼び寄せたのが始まりだという。
 坂手さんによれば、コチア組合も近くに土地を購入して数家族を住まわせたという。「吉岡さんは桃栽培を成功させた人として有名ですがうまくいかず、他の果物に変わっていったようです」(坂手さん)。
 また、同地には台湾梅の栽培でコロニアに梅干をもたらした孫河福さん(台湾出身)も入植している。孫さんはこの日の交流会に姿を見せ、話を聞きたいと集まった参加者一行と歓談に花を咲かせていた。
 孫さんが呼び寄せた家族が持参した台湾梅の栽培が成功し、それまでブラジルになかった、小粒ながら日本のものと変わらない梅干の供給が実現。国内に広まり、ボツカツはブラジルでの梅栽培発祥の地としても知られている。
 会場でも会員手作りの梅酒が振舞われ、頬を赤く染めた参加者もちらほら。現在、数家族が梅干や梅酒などを作っている。会館の外で自家製のそれらを販売していた長田佳貫さん(78、鳥取)もそのひとりだ。
 長田さんは1957年から3年間、契約労働者として米国に滞在し、61年に来伯した。桃、ぶどう、すもも、アテモイア、ビワなどを栽培し、近年はユカリの苗も作っているという。
 海抜800メートルを超える同地では朝と夜で気温差があるため、「果実の糖度が高くなる」と長田さん。果物の栽培に適した気候のようだ。
 並べられていた小粒の梅干を試食してみると、かなり酸っぱい。思わず顔をしかめると長田さんの妻郁子さん(73、鳥取)は「細かく刻んでご飯にまぶしたり、おにぎりにするとおいしいですよ」と笑う。
 郁子さんによれば梅干作りには手間がかかる。台湾梅は苦味があるため、それを取ってから漬ける作業に入るという。
 「梅とピンガ、砂糖を混ぜて作るだけ。簡単ですよ」と言う梅酒には「94年製」というラベルが。「熟成させればさせるほど美味」。現在はボツカツに限らずピエダーデ、ピラール・ド・スールなどでも梅が作られているという。
 郁子さんは27歳だった隣町出身の佳貫さんと結婚後、22歳で渡伯した。以来ボツカツに住んで49年になる。
 「家族との別れが辛く来るときは泣きました。今でも何でこんなとこまで来たのかなって思ったりします」と笑う郁子さん。「気候がよくて、フルッタもおいしい。いい所ですよ」と、孫娘を隣に嬉しそう。
 「フェイラに売りに行きますけど、今百姓は難しいですね」という郁子さん。子供4人、孫3人に恵まれ、70歳以上のゲートボールチームに所属。州内外の大会に出場している。「元気が一番。皆と話すのが楽しみ」と笑みをこぼした。(田中詩穂記者、つづく)

写真=ボツカツ在住49年の長田さん夫妻



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