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川崎重工が造船合弁に参画=EEP社に30%出資=資源掘削船建造に技術支援=長谷川社長「第3の海外拠点に」

ニッケイ新聞 2012年5月10日付け

 川崎重工業(本社=兵庫県神戸市、長谷川聰社長)が、バイーア州の造船会社「エスタレイロ・エンセアーダ・ド・パラグアスー」(Estaleiro Enseada do Paraguacu S.A.、EEP)に出資し、深海の石油や天然ガスを掘る資源掘削船(ドリルシップ)建造などの合弁事業に参画することを決定した。今月4日に合弁契約書の調印式が行われ、長谷川社長は挨拶で「バイーアに世界で最新鋭の造船所を建設するとともに優れた品質のドリルシップを建造すべく、最大限の力を注ぐ所存。成功させることでブラジルの石油、ガス開発の国家プロジェクトに貢献できればこの上ない喜び」と大きな期待を込めた。

 EEP社は国内大手建設会社オデブレヒト(Odebrecht)、OAS、UTCの3社が2010年6月に設立した企業で、同州マラゴジッペ市に造船所を来年末までに新設、2014年以降の稼動を目指す。
 造船所建設は既に開始されており、敷地面積は約160万平米に及ぶ。
 川崎重工の出資額は約30億円。造船所の建設から事業に加わり、実際の船舶の生産技術や開発ノウハウを提供するという。すでにペトロブラス社が使用する掘削船6隻の受注が内定している。
 川崎重工の海外の造船会社への出資は、中国に続いて2カ国目。これまで中国で2カ所の造船所を合弁事業として立ち上げた実績があり、これらの実績が評価され、技術パートナーとして認められたという。
 伯国では水深5千メートルよりさらに下にある「プレサル層」と呼ばれる深海で相次いで油田が発見されており、この開発や掘削のためのドリルシップやFPSO(洋上石油、ガス生産設備)をはじめとした各種船舶の需要が急増するとみられている。
 川崎重工は今後、EEP社を「第3の海外拠点」と位置づけ、同社の育成と収益性の向上を目指し、各種船舶の建造に積極的に取り組んでいく考えだという。
 また、川崎重工では3年前、マナウスにオートバイの工場を建設しており、航空機関連ではエンブラエル社とも主翼に関して協業している。
 今回のプロジェクトで陸、海、空の3部門がブラジルで事業を行うことになり、長谷川社長は「ブラジルとの結びつきはますます深くなる」とコメントしている。
 報告のため7日に本紙を訪れた「カワサキ・ド・ブラジル」の澁谷吉雄社長、沢里ジョルジ嘉男副社長によれば、ブラジルには韓国や中国のメーカーも造船所を現時点で持っておらず、川崎重工が先行進出する形になる。同社としても、イシブラスが撤退してからブラジルに注目してきた経緯がある。
 澁谷社長は「ペトロブラスから納期を厳守するように言われている」と表情を引き締め、「日本の造船会社は世界を牽引する存在で中国や韓国よりも技術が優れている。やりがいあるプロジェクト」と意気込んだ。

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