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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年5月17日付け

 先週末サンパウロ市であったSP—Arteに子弟らの作品を出品させた、現代美術家の村上隆さんは、何かと物議をかもすアーティストの一人だ。
 ヴェルサイユ宮殿で展示された一見卑猥な裸体フィギュアに対しては、日本のオタク達が美術作品はおろか、フィギュアとしての価値もないと反発をした。村上氏の目的がオタク文化の普及なだけに、皮肉な話だ。
 村上氏はそれを、オタク文化を外国に輸出するための「翻訳作業」と説明する。芸術も言葉と同じで、外国で通用する言語に書き換えることが必要らしい。
 彼が考える芸術の役目は「主観を超える、価値観を揺さぶる」。正に日本人の主観・価値観を揺るがし、海外との芸術感覚の差異を更に浮き彫りにしている。今後どのような〃翻訳作品〃が現れるかに注目したい。(阿)

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