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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年5月23日付け

 移住70周年(1978年)の主催「日伯新時代と国際交流シンポジウム」の基調報告で鈴木悌一氏は、1937年にイタリア移民が50年祭を祝ったときは、聖市内にイタリア魂を強調する愛国的な文化団体が17あったが78年には皆無になったと報告し、「ブラジルの大きな同化力の前に、日系人はひとたまりもない」と結論付けた▼シンポの報告書『われら新世界に参加す』(毎日新聞社)を見ていて感慨深かった。巻末の提言には「(日伯)文化交流基金制度の創設」「情報とPRの機能性を持つ『文化センター』の建設が中期の目標」「提言を一過性のものにしないために両国関係者で実行委員会を設置」など現在でも通用する内容が列挙されているが、結局は実行されなかった▼提言中唯一、「日伯学院」は日伯文化連盟が取り組んだが長続きしなかった。移住史上無二、梅棹忠夫(民族博物館館長)、小松左京(作家)ら有識者による提言にも関わらず、なぜ実行されなかったのか。もし半分でも実行されていたら未来(34年後の現在)は大きく変わっていただろう▼鈴木氏は「日本移民も溶け込んでいく。ミスコロニア、ミス二世、ミス日系など美人コンテストが行なわれているが、いずれは平家の落武者社会のようなコンテストには出てこなくなるのではないか。(中略)三十年後の百年祭を一体だれがやるのだろうか」と講演を締めくくった▼提言は実行されなかったが、不思議なことに百年祭は一般社会と一体になって盛大に祝われた。むしろ一般社会が日系活動の継続を望んだといえる。鈴木氏は草葉の陰からあの百年祭をどう見ていたのだろう。(深)

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