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盛り上がるブラジルへの移住熱=経済危機で欧米人に人気=出移民国から入移民国へ=専門職や観光事業で需要

ブラジル日本移民104周年

ニッケイ新聞 2012年6月23日付け

 長引く欧州での経済危機や、BRICs諸国の一角との認識をされ、ワールドカップやオリンピックなどの国際的イベントへの期待もあり、ブラジルが再び「移民大国」になりつつある。ブラジル法務省が昨年10月に発表した統計によると、2011年6月時点でのブラジルの外国人人口は146万6千人で、その半年前の2010年12月時点よりも52%も上昇していることが判明した。また、永住ビサの獲得者も2009年から翌10年にかけて67%も増えたという。これらの数字は正式に外国人登録を行った人の数だが、不法滞在者を含めると200万人を超えると見られている。

 ブラジルではこの20年間、日欧米へのデカセギなどに象徴されるように、働き口を国外に求める傾向が強かった。ところがその流れが変化しているようだ。
 法務省調査によると、ブラジルから国外に出る労働者の数は2005年の400万人から半減し200万人ほどとなり、「出移民」よりも「入移民」が上回りはじめている。昨今の欧州各国での高い失業率を考慮に入れると、旧大陸からの押し出し圧力はさらに強まっていると思われる。
 この入移民の内訳を見てみると、最多はポルトガル(32万8826人)、隣国ボリビア(5万0640人)、中国(3万5265人)、パラグアイ(1万7604人)、ハイチ(1605人)の順となっている。
 こと、移民と言った場合、従来だと、工場労働者のようなイメージが思い浮かびがちで、実際にそういう移民も多いことは事実であろう。
 だが、BBCブラジルのサイトに11年11月29日に掲載された記事によると、ポルトガルからの移民は以前と現在では大きく様変わりしているという。それによると、1980年頃にポルトガル人はパダリアの開店など、比較的小さな商売のためにブラジルに移住していたが、現在では建築士や弁護士といった高収入の人たちが仕事の可能性を求めてブラジルへ向かう傾向が強まっている。

 先進国からの希望者増

 このポルトガルからの移民と同様の理由で、現在、欧州先進国がブラジルにビジネスの可能性を見出して移住を希望する動きが高まっているという。日本のビジネス系サイト、サンケイビズに6月2日付けで掲載された記事によると、現在ブラジルでは単純労働者ではなく専門職が人手不足な状態だという。これはブラジルの経済成長があまりに急激だったために技術者の訓練や育成が十分に行われなかった結果だという。現在ブラジルでは、建設、石油・天然ガス、貿易の部門で労働力需要が高まっている。

 リオ移住は世界的人気?

 また、こうした事情に加え、2014年のワールドカップや16年のリオ五輪といった国際的なイベントも欧米でのブラジル移住熱を高めているという。イベント開催に伴うインフラの増大による労働需要の高まりもあるが、そうしたイベントを控えていることで増加が予想される旅行客対象の観光ビジネスへの期待も高まっている。それが特に顕著なのはリオデジャネイロだ。今年1月初旬のエスタード紙の記事によると、現在リオが「住みたい地域」において世界的に人気で、リオの不動産売買交渉のうちの10%がリオ以外からの人によって行われ、国外からの移住者も多いという。
 そうした人気に押され、リオの商用ビル1平方メートル(平米)の平均は69・4米ドル/平米でニューヨークの中心部ミッドタウンの62・6米ドルをも上回っているほどだ。また、レストランや商店などで、観光客相手に「英語が話せるから」という理由で欧米からの移民を珍重する動きもあるという。

 移民に寛容なブラジル人

 また、ブラジル人の外国移民に対する寛容さも移住の理由にあげる声も少なくない。BBCブラジルの取材に応えたある中国からの移民は「アジア人にとっての親しみやすさ」を移住の決め手としてあげていた。また、同局が23カ国を対象に11年8月に行った「移民に対して好意的な印象を抱いているか」とのアンケートにおいて、ブラジルは49%で1位となっている。
 11年の国内総生産(GDP)が2・7%にとどまり、12年も苦戦を強いられていることから、国外からのブラジルへの移住の憧れは多少減少するかもしれない。だが、長引く経済危機による欧州の景況悪化とBRICs諸国への期待感や国際イベントが続くことへの期待感が依然として高い。
 そういう背景を生かして、「日本からブラジルへの移住はあるか」となると、気になるところではあるが、そう容易ではない。ウィキペディア日本版の「日系ブラジル人」の項目には「サッカーやブラジリアン柔術、ブラジル音楽の技術の取得を目的とした日本からブラジルへの留学生も増えている」とあり、ブラジルに注目するきっかけはある程度は存在する。だが、そのためには、欧米人に求められているような専門的な技術や観光客を相手にできる語学力のようなものがないと難しいようだ。

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