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「日本移民の日」に寄せて=在サンパウロ日本国総領事 大部一秋

ブラジル日本移民104周年

ニッケイ新聞 2012年6月23日付け

 「日本移民104周年」を迎えるに際し、心よりお祝い申し上げます。遠く離れた異国の地で苦難の連続の中、不屈の精神力で道なき道を切り拓かれ、今日の日系社会の繁栄の礎を築かれ、今この大地に安らかに眠る多くの先人の方々の尊きご生涯を偲び、深い感謝の念と共に、衷心より哀悼の意を捧げます。
 私は6月1日付けで帰国の命を受け、着任以来約3年半にわたるサンパウロでの勤務を終え、6月末に離任することになりました。
 任期中にはサンパウロ州をはじめ南マット・グロッソ州、マット・グロッソ州の100カ以上の日系移住地や町を訪問することができました。
 いずれの地にあっても温かな真心の歓迎を受け、多くの貴重な出会いがありました。そうした場で皆様方が、日本から移住し様々なご苦労をされた祖父母やご両親などをはじめとする先人の人生を誇らしく語る姿を目のあたりにして、深い感動を覚えずにはいられませんでした。
 各地への訪問を通じ数多くの宝のような経験をすることができ、妻と共に私達の心に永遠に消えることのない金の歴史を刻むことができました。
 また昨年3月、東日本大震災により未曾有の困難に直面した日本国民に対して、広くブラジル社会、日系社会の数え切れないほど大勢の方々から温かな連帯の表明と力強いご支援をいただいたことは生涯忘れることはできず、ブラジルで先人の止むことなき努力により営々として築かれてきた日本とブラジルの絆の深さを強く感じました。改めて、皆様の温かな真心のご支援に対し深く感謝申し上げます。
 今、私は、「日本人のブラジル移住は壮大な人間のドラマであり、偉大な開拓の歴史である」と心から実感しています。日本人のブラジル移住の歴史に対し最大の敬意を表したいとの気持ちを抑えることができません。
 この場をお借りし、3年半の間に日系社会の皆様から数かぎりなくいただいた温かな真心のご厚情に対し、妻とともに深く御礼申し上げます。
 日本とブラジルの関係は今後10年間、第2の黄金期を迎えるものと確信しています。両国は相互のパートナーシップの強化・拡大という新たな局面に入っていると思います。
 そうした状況の中、先人の偉大な開拓の歴史を引き継ぎ、両国の心と心のかけ橋としての役割を果たしてこられた日系社会の皆様の存在は今後益々重要となっていくものと確信します。
 最後に、深い尊敬と感謝の念とともに、改めて先人のご遺徳を偲び、皆様方お一人おひとりのご健康とご多幸、日系社会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げ、我が愛するサンパウロでの私の最後のご挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

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