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温故知新の心忘れずに=ブラジル日本文化福祉協会会長 木多喜八郎

ブラジル日本移民104周年

ニッケイ新聞 2012年6月23日付け

 移民104周年記念日を迎えたことにあたり、謹んで開拓移民先亡者の御霊に追悼の意を表します。大きな期待と希望を抱きながら、志なかばで雄途むなしく病に倒れ永眠された開拓移民の方々の御霊に対し、衷心より哀悼の意を表する次第でございます。
 日本においては、昨年3月突然襲った東日本大震災の大惨事から一年が過ぎた今なお、着々と復興活動が進められています。私ども日系社会では、今年3月11日、一周忌追悼法要並びに被災地復興祈願をブラジル日本文化福祉協会講堂に於いて日系団体主催で行いました。
 被災者の皆様が安心して暮らせるにはまだまだ長い年月を要すると思われますが、私どもとしましては、日系諸団体と協力して長い支援を志してまいる所存でございます。
 ブラジルにおいては多くの人々が復興に暖かい手を差し伸べ、100年の歴史を有する現在の日系社会においてともすれば希薄になりがちな団結が蘇り、ブラジル人、日本人をとわずして、双方を通じた日本を思う心が感じられる歴史のひと時となりました。これも偏に一世の先人移民の遺訓が築きあげた賜物であり、尊い願いの実証であります。
 移民祭と時を同じくして、今月18日には世界環境サミットがリオで開催されますが、今やブラジルは世界から注目される存在に移り変わってきています。
 今後ますますブラジル国は世界的イベント会場へと脚光を浴び、発展するでしょう。その中にある私ども日系社会もブラジルとともに世界の舞台へと押し出されている訳であります。
 どのような環境におかれても、先人から受け継がれてきた温故知新の精神を忘れずに、邁進しなければならないと思うものであります。それは若い世代の活躍の場にもつながる事になり、文協の願いであり、先駆移民への恩返しにもつながるものであります。
 移民104周年にあたり、先人の御苦労を偲び、併せて東日本大震災で失われた方々を心に留め、心からご冥福をお祈りします。
 最後になりましたが、日系社会の皆様、ニッケイ新聞をご愛読の皆様のご健勝を祈念し、ブラジル日本移民104周年を迎えるにあたり私の挨拶と致します。

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