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コロニア芸能祭=今年も盛況、来場3千人=642人の熱演に声援も

ニッケイ新聞 2012年6月27日付け

 ブラジル日本文化福祉協会芸能委員会(頃末アンドレ委員長)が主催する『第47回コロニア芸能祭』が23、24の両日に文協大講堂で開かれ、141組、計642人が出演した。
 4月に選考会を勝ち抜いた多彩な顔ぶれを一目みようと訪れた来場者は3千人超。フィナーレでは会場が一体となって「炭坑節」を踊るなど賑わいを見せた。
 約10年ぶりに松謡会(田中敏行代表)によって演じられた能の演目は「船弁慶」。低く響きわたる勇壮な謡いと迫力ある演舞で観客を魅了した。弁慶役を務めた生駒憲二郎さん(64、三重)は「能は気迫。必死でやり切った」と興奮冷めやらぬ様子だった。
 4月末の外山節全伯大会で優勝し、東京・両国国技館での全国大会にゲストとして参加する太田信子さん(75、二世)は、今回の芸能祭でも同曲を熱唱。「大勢の前で少し緊張した」と話すその小さな体からは想像できない堂々たる歌いぶりで、観客の心を掴んだ。
 日本舞踊や、琉球太鼓、民謡などの伝統芸能だけでなく、カラオケやタンゴなど変り種も。リベロンピーレス民舞グループ(川添博代表)はおなじみの「健康表現体操」に加え、ピンクレディーの「ペッパー警部」の楽曲で民舞を披露した。
 今年の大トリを飾ったのは、京藤間流の「フィナーレ民舞」。京藤間勘輝代表が「震災の被害を受けた東北地方への激励の気持ちを込めた」と話す通り、各地の民謡に合わせた踊りを披露。プログラムの最後には、観客を巻き込み大きな輪になっておよそ10分間「炭坑節」を踊り、大きな拍手とともに大団円を迎えた。
 姉妹で訪れ、炭鉱節の輪にも加わった高瀬正美さん(83、二世)とさつきさん(81、同)は「色々な種類の芸能を一度にみられるのは貴重な機会。特に若い人たちの演技に元気をもらった。四、五世といった子たちが日本文化に親しんでいるのは感慨深い」と話し、満足げな様子で会場を後にした。
 頃末委員長も「子どもたちの舞台を見るのが毎年一番の楽しみ。文化を継承し、背負っていく彼らは本当に貴重な存在」と話すとともに「芸能祭に出ることは若い彼らの励みとなる。今後も続けていけるよう努力したい」と来年の開催に向けて気を引き締めていた。

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