ホーム | 日系社会ニュース | 大部一秋総領事送別会=「心はサンパウロに残る」=3年半で106カ所訪問

大部一秋総領事送別会=「心はサンパウロに残る」=3年半で106カ所訪問

ニッケイ新聞 2012年6月28日付け

 在聖日本国総領事館の大部一秋総領事が今月で任期を終え帰国するにあたり、26日夜、サンパウロ市文協貴賓室で送別会が開催された。プレジデンテ・プルデンテ、グァタパラ、プロミッソンなど遠方からも日系団体の代表者ら約300人が集い、大部総領事夫妻との別れを惜しんだ。
 開会の時間まで入場する参加者は途絶えず、貴賓室は満席となった。両国歌を斉唱後、日系社会を代表して木多喜八郎文協会長が「夫妻は着任当初から国歌を暗記し、ブラジルへの敬意を表した。100以上の市や移住地を訪問したのは前代未聞で、どの訪問先も本当に光栄に感じているはず」と謝意を示した。
 続いて、送別会を主催した35団体、希望の家、こどものそのなど福祉4団体、モジ・ダス・クルーゼス文化協会、ブラジル日本移民史料館からそれぞれ感謝状や記念品が贈られ、夫妻は神妙な面持ちで受け取った。
 「今夜は友達ばかりの送別会だから」と原稿を持たずに挨拶に立った大部総領事は「祖国日本を思いながら亡くなっていかれた方の魂を感じ、それに魅せられて106カ所を164回訪問した。サンパウロとの出会いは運命。去っても心はここに残る」と涙ぐみながら語り、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
 諸団体の謝意に感激した栄子夫人も、プログラムにはなかったが挨拶に立ち「『ありがとうございます』の一言しかない。ブラジルの応援団として心をここに置いて生きて参ります」と笑顔で感謝を述べた。
 最後に園田昭憲県連会長の音頭で乾杯が行なわれると、参加者らは次々に大部夫妻を取り囲んで握手や別れの言葉を交わし、記念写真を撮った。
 大部総領事は本紙の取材に対し「今までのなかでここまで思えた勤務地は初めて。これからは、学んだことをどこに行っても伝えていきたい」と話した。

image_print