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CIATE=帰伯デカセギ子弟に奨学金=「しかるべき教育の機会を」=撤退企業が83万レ託す=20周年式典で基金設立発表

ニッケイ新聞 2012年7月21日付け

 帰伯デカセギ子弟に、しかるべき教育の機会を—。CIATE(国外就労者情報援護センター)がこのほど基金を設立し、日本で数年を過ごし帰伯したデカセギ子弟を対象に奨学金給付を行うことが決まった。14日に開かれた設立20周年記念式典で、二宮正人理事長が発表した。かつてブラ拓製糸(BRATAC)と共同で製糸業を営み、数年前にブラジルから撤退した昭栄株式会社(今年7月に事業廃止)が、撤退のさいブラジルに残した約83万レを日系社会に役立ててほしいとCIATEに依頼したもの。二宮理事長は、「有効な投資。日本で数年を過ごしたデカセギ子弟教育への貢献となる」と意義を強調した。

 CIATEの大嶽達哉専務理事は「彼らは日本とブラジル両国の文化を理解している〃原石〃。しかるべき教育をすれば、素晴らしい人材になりうる」と資金利用を教育に充てた理由を説明し、「進学に対するモチベーションになる。経済的な理由で進学が困難な人の一助になるのでは」と期待した。
 同基金は「昭栄奨学基金」と名付けられ宮坂国人財団が運用や管理を担い、CIATE学術評議員(中川郷子、渡部和夫、山中イジドロ各氏ら5人)でつくる運営委員会で奨学生を選考する。
 給付対象はブラジルの4年制大学への進学を希望する学生。入学して卒業するまでの4年間、毎月最低賃金を返還義務なしで給付するもので、来年一学期(2〜3月)からの第一次給付開始をめざし、年内に募集要項などを発表する準備が進められている。
 現時点では1年に4人をめどに20年で終了する計画だが、大嶽専務理事は「まだ流動的。どのような方法が効果的かを検討しながら運用していくことになる」とした。
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 14日午後4時から文協ビル貴賓室で行われた式典には、両国の政府関係者や日系団体代表ら100人が出席し、CIATEの活動意義が改めて確認された。
 式典のためにブラジリアから駆けつけたカルロス・アドアルド・ガバス前社会保障相は「(3月発効の)社会保障協定によって多くのブラジル人が恩恵を受けている。締結にはCIATEの存在が重要だった」と謝辞をのべた。
 続いて在聖総領事館の小林雅彦首席領事、厚生労働省派遣・有期労働対策部の生田正之部長、海外日系人協会の田中克之理事長らが祝辞をのべ、CIATEから伯政府や総領事館、日系人協会、各日系団体や個人にサウバ・デ・プラッタが贈呈された。また、生田部長からCIATEに小宮山洋子厚生労働大臣からの表彰状が贈られた。
 二宮理事長は本紙の取材に対し、「(20年目を迎え活動内容として)新しいことを考えなくてはいけないのは確か」としながら、実践的な日本語習得を目的とした講座は依然受講者が多いとし、「今後も日本に行きたいという人は多い。そういう人に情報提供し、日本の啓蒙活動を行っていく」と、当初の設立目的に則した活動を継続していく姿勢を強調した。

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