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「健康体操」は誰のもの?=(上)=お互い一歩も引かず対立=商標登録と実施権利巡り

ALCESの岩井会長、協会の異議申し立て取り消しを願う

 カラフルなTシャツで統一し、歌謡曲にあわせて溌剌と楽しく体操する「健康体操」。今、体操実施の権利と商標登録を巡り、ブラジル健康表現体操協会(川添敏江会長、2006年発足、以下「協会」)とリベルダーデ文化教育健康協会(岩井輝禎会長、以下ALCES)の間で厳しい対立が続いている。市田イツ子同協会副会長(当時)と岩井さんが2年前に発足させたALCESが、協会より先に、ロゴマークと名称の商標登録を行ったことが発端だ。この時協会では商標登録に必要な法人登録の準備を進めており、敏江会長の夫である川添博代表は「知っていて先に登録するなんて汚い」と憤慨する。すぐに異議申し立てを行ない、日本本部の意向として協会にのみ体操を指導する権利があると主張、それに対し、岩井会長は「健康と体操は皆のもの。何故独占しようとするのか」と反発している。

 国内で商標(ロゴマーク、ブランド名、商品名など)を独占的に使用することができる権利を商標権といい、日本では特許庁、伯国ではINPI(国立工業所有権院)が審査・管理する。
 一度登録された商標は、それと類似のものでも他団体(会社)が勝手に使用することはできず、その権利を侵害した場合は損害賠償や刑事罰の対象にもなりうる。
 健康体操はNPO法人全日本健康音楽研究会(本部=静岡県浜松市、斉藤千代子会長、以下「全健音」)が考案したもので、運動心理学の専門家・斉藤会長が曲ごとに振り付けを作っている。
 協会設立時には、まず敏江会長と市田副会長(当時)が本部で指導員の資格を取得し、セミナーを開いて准指導員を養成し、手を合わせて普及を進めてきた。
 しかし昨年8月、市田副会長は「協会のヘグラ(規約)が厳しすぎる」「指導員にふさわしくない振る舞いをしたといわれた」などを理由にセミナーを度々欠席した末に袂を分かち、岩井さんと共にALCESを立ち上げ、独自に教室を続けている。
 しかし、ALCESが商標登録を出願した時点で、市田さんはまだ協会員だった。さらに、博代表、敏江会長、2准指導員の計4人に確認したところ、協会内では経済的基盤がある程度整った2年ほど前から会議を開き、法人登録のため規約を作るなど準備を進め、副会長であった市田さんも当然参加していた。それにも関らず、他団体で登録出願したのはなぜか。
 本人にその理由を尋ねると「岩井さんは『登録しなさい』と言って丁寧にやり方をみんなに教えたし、機会は幾らでもあったのに川添さんは登録しなかった」と説明した。「協会が法人登録の準備をしていたことを知っていたのでは」と問うと、「そういうことはあったと思いますけど、よく覚えてません」と曖昧な返答をし、明答を求めると「もう分かりません!」と突然声を荒げた。
 一方、岩井会長は「自分の団体でやる以上、きちんとしたいと思って登録した。当たり前のこと。だからと言って、他の団体に体操するなとは言いません。健康と体操は皆のものです」と繰り返し、「何ら問題ないはず」と主張している。(つづく、児島阿佐美記者)

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