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新会館の建設が着々と=遠藤会長が作業に汗流す=サンパウロ州セッテ・バーラス文協で=来年の100周年に向け

ニッケイ新聞 2012年8月2日付け

 聖南西のセッテ・バーラス市では、来年迎える『レジストロ地方植民地100周年』の記念事業の一環として、文協会館の新築工事が着々と進められている。市のセントロにある広場からほど近い敷地で、建設会社を入れずブラジル人の大工数人を雇い、自ら作業に汗を流すのは、同地文協会長の遠藤寅重さん(76、福島)だ。「完成したら、踊りや体操などをやって、日本語学校も復活させたい。今は日本語がブームの時代。ブラジル人も巻き込めば、うまくやっていけると思う」と、活動再開に向け大いに張り切っている。

 遠藤さんは1957年、21歳で来伯した。入植地のマリンガで2年ほど大工仕事に携わった経験があり、「イメージ通りに造りたいから」と自ら陣頭指揮を取る。
 同市に住んで50年、文協会長には昨年就任した。「大変でしたよ。でも、もうまもなくできます」と晴れやかに笑う。
 同市人口は約1万3千人。会員は80家族約300人と決して多くない。「なぜ今会館が必要なのかと言われますが」と笑いながらも、「もう日本人だけの時代ではない。ブラジル人と融合していく時代にきている」と信念を貫く。
 同地では市議会が「日系社会の日」と制定した5月の第4日曜日、市の建物の屋内で毎年フェスタを開催している。今年で6回目を迎え、ブラジル人を中心に毎回約1千人が来場するという。
 地元住民も準備に参加し、ビンゴカードの売り上げは身体障害者へ寄付するなど、地域と一体となった祭りとして存在感を放っている。
 総敷地面積は450平米、建物面積は275平米で、あとは内装などを残すのみ。8月末には完成予定だ。
 遠藤さんによれば、最初に文協会館ができたのは1956〜7年頃。最盛期には約600家族ほど会員がいたという。
 その後、数十年活動停止の状態が続いたが、近年若者を中心に柔道が行われ始め、JICAから教師が派遣され日本語学校も運営されていた。
 しかしその活動も4、5年前から中止となっていたところ、来年の100周年を機に気運が盛り上がり、記念事業として会館新築が決定。老朽化していた建物を取り壊し、同じ場所での建設が始まった。
 「ここで我々が評価されているのは先人の遺産。その恩返しのつもり」。今年中、あるいは来年に予定される落成式に向け、遠藤さんは「楽しみです」と胸を弾ませている。

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