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ジュサラの持続的生産を〜セ・バーラス森林農法プロジェクト〜(上)=栄養価高いジュサラの実=日本のNPO団体が協力

ニッケイ新聞 2012年8月14日付け

 大西洋岸林地域の農家の安定した収入確保をめざして—。大西洋岸の北部から南部にかけて分布する大西洋岸森林(マッタ・アトランチカ)地域の小農を支援する、ジュサラ椰子を主作物としたアグロフォレストリー(森林農法)を推進するプロジェクトが聖州セッテ・バーラス市で進んでいる。支援に参画するNPO法人「VERSTA」(東京都)関係者や専門家が日本から来伯し、先月9〜11日に現地を訪れ、村民との意見交換などを行った。

 プロジェクトは、ジュサラの合法的かつ持続的生産と生産者の生活維持のため、同椰子を植えて実をポルパ(果実)として利用、商品化を目指すというもの。成果が出るまで最低10年という長期計画。実践する農家の目線に立って意見を聞くことで、より良い方法で実施につなげる考えだ。
 人間による開発が始まる前、アマゾン森林の約4分の1に相当する1億ヘクタールを覆っていたとされる大西洋岸林。ポルトガル人の植民地化を契機に徐々に失われ始め、現在はもとの7%しか残っていないという。自生していたジュサラ椰子は食用のパルミットの採取を目的に、過去50年にわたり盗伐され、絶滅の危機に瀕している。
 「違法伐採だがそれで生活している人もいる。それに代わる産業を生み、価値のある食料生産を行えるようにすることが大切」。訪問団に同行した、プロジェクトに関わる元聖州森林院総裁の山添源二さん(76、二世)は、こう説明する。
 パルミットを採るためには木を切り倒す必要があるが、実なら樹木を倒すことなく、20〜30年ほど毎年採取できる。ジュサラが成木するまでの5、6年、生産者の収入源となるよう、一年生作物や既存のコーヒー、バナナも組み合わせて植えられる計画だ。
 採取、原料加工から商品化、すなわち生産体制を確立して付加価値を加えるまでの過程において、VERSTAは技術供与できる日本企業の協力を求めていく考えだ。
 今年度、プロジェクトはVERSTAの申請で、日本の環境庁が管轄する環境再生保全機構の「地球環境基金」から助成を受けた。その他聖州環境局森林院、森林財団、農務局試験場、カンピーナス州立大学、サンカルロス連邦大学なども協力する。
 「マッタ・アトランチカは保全が急務。ブラジル産品の恩恵を受けている日本人として協力すべき」。昨年同地で事前調査を行ったVERSTAの専務理事、小野瀬由一さん(59、山形)はそう意義を強調する。
 ジュサラのポルパはポリフェノール、抗酸化作用のあるアントシアニンが豊富に含まれる。アサイーと似ているが、栄養価はアサイーを上回る。「最近はブラジルでも高齢化が進んでいる。商品開発が成功する見込みは高い」と期待する。
 一行が初日に訪れたのは、市の中心から30キロのグァピルヴー地区。森林に覆われた、150家族が住む部落だ。ここのリーダー的存在で同市の農業局長も務めるジルベルト・オオタさん(54、三世)は、森林農法を推進する一人だ。
 数年前から半ヘクタールの土地でバナナ、ププーニャ、複数の果物の木とジュサラを混植している。栽培だけでなくジャム作りなど付加価値を付けた利用、エコツーリズム(自然環境、文化・歴史等を観光の対象とし、その持続可能性を考慮するツアー)などの実施も視野に入れている。(田中詩穂記者、つづく)

写真=一行を歓迎したグァピルヴーの皆さん。前列左から3人目がオオタさん

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