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『讃仰の集い』を盛大に=東本願寺開教60周年=移民の恩徳、1千人が確認=識者招き、フォーラムも

ニッケイ新聞 2012年8月29日付け

 真宗大谷派南米開教区(ブラジル別院南米本願寺本部、菊池顕正開教監督)が、宗祖親鸞聖人750回御遠忌、同派南米開教60周年および大谷暢裕開教司教就任を記念し、25、26の両日、「今、いのちがあなたを生きている」をテーマにサンパウロ市文協大講堂で『讃仰の集い』を開催した。初日は「人間とはいかなる存在か」を考える人間フォーラムを、2日目は「音楽法要・音楽の夕べ」を行なった。日本からは安原晃宗務総長、藤田哲史組織部長、梯宗組織部次長国際室担当ら、アルゼンチン、パラグアイやハワイからも関係者が駆けつけ、両日で延べ約1千人が来場し、盛大に節目の年を祝った。

 南無阿弥陀仏の名号は無数の人々の縁で、現代に至るまで脈々と伝えられてきた。南米開教60周年の背景にも、仏教徒だった日本人移民が教えをもたらした縁がある。その先祖の恩徳を確認し報いること、また今日における言語、開教に携わる人の育成などの課題を再認識することが目的。
 初の試みとなったフォーラムでは、環境保護活動家のワシントン・ノヴァエス氏、リオ・グランデ・ド・ノルチ州立大学のジュリオ・フランシスコ・ダンタス・デ・レゼンデ教授(心理学)、日本大谷大学の延塚知道教授、ハワイのワイメア東本願寺で少数民族保護活に携わる藤森宣明開教使の4人がパネリストを務め、現代社会の閉塞の原因とその打開策について、人間の本質への問いを通し、それぞれの見解を述べた。
 藤森開教使は親鸞の教え「帰命無量寿如来」が新しい持続可能な経済学を、「南無不可思議光」が異文化や異宗教との向き合い方を示唆すると主張。
 ジュリオ教授は「苦しみを根元から断ち切り、人間の意識や生活の質を向上するには教育が重要」と話し、「学校教育に瞑想の導入をしてはどうか」などの提案をした。
 ワシントンさんは「インジオの社会には他者との比較がない、誰もが平等なユートピアのような世界」と話し、我々の社会も学ぶべきとした。
 延塚教授は「平和を求めながらも争いが絶えないのは、人間社会は全てが自我を前提として成り立っているから」とし、自我を超えた親鸞聖人の教えの大切さを説いた。
 最後に質疑応答を経て、最終的に現在人間が直面している世界危機には、仏教の視点が重要性を持つことが改めて確認された。


音楽でつむぐ開教の歴史〜念仏と共に生きた移民

 翌26日は午前中に音楽法要と延塚教授の記念法話「南無阿弥陀仏とは何か」、午後には日本人移民到来から開教、今に至るまでの歴史を歌と共に織り成した「音楽の夕べ」が開催された。
 導師を務めた大谷開教司教は「お念仏の教えは、混迷閉塞の時代にある私たちの生活に確かな方向を与えてくださる」と法要の意義を語り、安原宗務総長は「様々な差異を超え、一人ひとりが互いにどう交わるかという問いに応答する」のが御遠忌テーマの意義とした。
 門信徒有志合唱団、開教従事者らが三帰依文、正信讃などメッセージ性のある歌を合唱し、午後は日本伝統芸能を始め、セルタネージョ、パンデイロ演奏、パ国民謡、亜国タンゴショーも行なわれ、様々な人の縁を土台に教えが伝道された様子が表現された。
 最後にシェン・リベイロさんの尺八演奏にあわせ、来伯中の書家・森秀一さんが巨大紙に親鸞聖人の教えや「いのちが今、きらめく」など歌の歌詞を描くパフォーマンスを行ない、大きな拍手が送られた。
 また、初日に安部順二連邦下議から菊池開教監督に感謝状が贈られたほか、2日目は親鸞聖人の著作である国宝「坂東本教行信証」の影印本を授与、経典の翻訳に尽力してきた南米真宗教学研究所顧問のリカルド・マリオ・ゴンサルヴェス開教使には褒賞が伝達された。

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