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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年10月16日付け

 ピラール・ド・スールの上芝原実夫さんの訃報に接したのは、自宅にお邪魔して一晩世話になった日から、2カ月目のことだった。
 会ったのは2回だけだ。一回目は聖南西連盟の総会で、2回目はお芝居デリバリー・まりまりと同地の子供達の交流を取材したとき。両方とも温かく大きな笑顔で迎えてくれた。内面がにじみ出ているような、人を安心させる笑顔だった。
 夕飯をご馳走になりながら教育の大切さ、文協や日語学校のことを熱っぽく話してくれた。長年住んだ地域を愛し、真剣に次世代のことを考えている人から出る、力をもった言葉だった。
 亡くなる1週間後に、75歳を迎える予定だった。「今年から敬老会に呼ばれるって、嬉しそうにしてたんです」。妻の初美さんは気丈にも電話越しにそう言っていた。
 一つひとつの取材が一期一会なのだと、改めて感じさせられた。(詩)

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