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異色の作家=榊原さん遺作展=表舞台嫌い個展開かず=有志が企画、26日まで

ニッケイ新聞 2012年11月9日付け

 今年9月に2年間の闘病生活の末、ガンで亡くなった画家・榊原久雄さん(享年74、神奈川)の遺作展が先月26日から始まっている。今月26日まで。入場無料。
 榊原さんは1960年の来伯以来、日系作品展に出展するなど、一貫して画家活動を続けてきた。昨年自身初となる画集が出版され、それまで発表されていなかった作品に注目が集まった。それを契機に初の個展が計画され、準備が進められていた。60年に及ぶ画家生活において、初めての企画だった。
 ところが開催直前に急逝した。画集の出版にも関わった、日本在住時代からの旧友・金子謙一さんら、同時期に来伯した日系画家のメンバーが中心となって企画を引き継ぎ、実行に漕ぎつけた。
 1980年代から昨年までに制作された約30点が展示されている。全て幾何学的抽象絵画で、色とりどりな線や円で独特の世界観を映し出す。
 先月25日の開幕式に出席した造形作家の吉沢太さん(48、埼玉)は「まとまった作品群を見るのは初めてで、圧倒された。それぞれに強さを感じる。今後に長く残っていく作品は多いと思う」と感想を語った。
 榊原さんの妻エウザさん(70)と娘ナラさん(42)は、「平和を愛し、各地で起こる紛争や争いごとにいつも心を痛めていた。彼の作品にはその思いが込められている」と語り、金子さんも「何度も個展を開くチャンスはあったのに、表舞台に出るのを固辞し続けていたように思う。ぜひ作品を見て、ある無名画家の素晴らしい人生を、作品の中から感じてもらいたい」と話していた。
 会場=JOH MABE Espaco Arte & Cultura(Avenida Brigadeiro Luis Antonio, 4225, Jardim Paulista)。開館時間は平日午前10時〜午後6時、土曜午前10時〜午後3時で、日曜休館。問い合わせは電話(11・3885・7140)まで。

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