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NHK俳句=広田ユキさんに年間大賞=戦争体験を込めた一句

ニッケイ新聞 2013年3月12日

 今月3日(ブラジルでは6日)に放送された「NHK俳句」(選者・有馬朗人)による2012年度の年間大賞に、サンパウロ市在住の広田ユキさん(88、和歌山)の一句「カナンの地求めし移民原爆忌」が選ばれた。
 同番組では、毎週4人の選者が交代で月1回出演し、応募句の中から優秀句9句を選ぶ。冒頭の作品は8月に「原爆忌」を兼題に投句されたもので、有馬さんが1年間に選んだ全第一席句中から年間大賞に輝いた。
 広田さんは「年間大賞があるなんて知らなかった」と驚きを見せ、「20歳前、軍事工場があった故郷の和歌山市は戦争で全焼した。移民として外国に行って、カナンの地で幸せに暮らしているという意味を込めた」と作句の背景を語った(カナン=旧約聖書で神がユダヤ人に与えることを約束した土地)。
 1957年ぶらじる丸で渡伯。俳句を嗜んで25年、俳句誌「蜂鳥」で活動するほか、日本の各種大会にも応募し多数受賞している。

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