ホーム | 日系社会ニュース | 会議所3月度昼食会=長崎大・藤野名誉教授が講演=SENAI技術部長もアピール

会議所3月度昼食会=長崎大・藤野名誉教授が講演=SENAI技術部長もアピール

ニッケイ新聞 2013年3月22日

 ブラジル日本商工会議所の3月度の定例昼食会が15日、サンパウロ市内のホテルで行われ、約140人が参加し、長崎大学の藤野哲也名誉教授、SENAI(工業実習サービス機関)サンパウロのリカルド・テーハ技術部長がそれぞれ講演した。
 藤野氏は一橋大学卒業後、石川島播磨重工業(当時)に入社し、石川島ブラジル造船所(イシブラス)での勤務経験をもつ。94年から長崎大学経済学部助教授、昨年から現職。
 「トップマネージメント」と題した講演で藤野氏は冒頭、100〜150年単位でみた経済成長率は、平均年率2・8%(1890〜2000年)で日本が一位、2位はブラジルで2・46%(1900〜2000年)だったというデータを紹介した。
 また、失われた20年(1991年から約20年以上にわたる日本の経済的低迷期)の間でも、大手流通グループのイオンは増収、増益を続け小売業界のトップに躍り出た理由として、「岡田屋から始まった岡田家のトップダウン型経営が効を奏している」などと説明した。
 戦後50年以上、一貫して米国企業より利益率が低いという日本の企業への提言として「上司へのほうれんそう(報告、連絡、相談)をやめること」とのべ、「上司に相談しないと意志決定できない人間は、欧米ではありえない。自分で行動し、考えることで成長する」との見解を示した。
 具体的には、「仕事を任せられる人材を部下に置く」「権限を移譲することで権限に見合う給与体系に変える」「結果責任に耐える精神構造に変える」などのポイントを挙げて締めくくった。
 SENAIサンパウロのテーハ技術部長は、「SENAIサンパウロの技術とイノベーション教育」と題して講演した。製造業を中心に職業訓練を行うSENAIでは、昨年の受講者総数が職業訓練、工業高等学校、大学の各コース、企業内研修などを合わせ約100万人に達したといい、その教育レベルの高さをアピールした。
 セラミック、空調、シルクスクリーン、印刷、機械加工、溶接など幅広い分野のコースがあり、教育省が認可した学士取得コース(大学)も設置されたほか、教育にとどまらず研究開発や技術革新にも力をいれている点を強調した。
 代表者交代挨拶では、ブラジル三菱重工業の西岡信之社長が帰国あいさつをした。会議所では企業経営委員長、機械金属部会長を務め、3年の駐在を終える。「帰るのは非常に残念。社会インフラの大型受注をし、(三菱重工の)存在感を高められれば」と後任に期待感を示した。新社長の相原芳彦氏は昨年9月から南米代表として着任しており、4月からブラジル社長を兼任する。
 その他、連絡事項では中西俊一渉外広報委員長が『日ポ両語 ブラジル略語集』の刊行について発表し、昼食会に先立って開かれた第63回定期総会及び定例理事会では、昨年度の事業、決算報告があり承認された。

image_print