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ブラジル三菱商事=黒子氏が新社長に就任=「国の成長支えたい」

ニッケイ新聞 2013年3月23日

 ブラジル三菱商事の近藤正樹社長の帰国に伴い、後任として来月1日から黒子多加志氏(53、東京)が同社長に就任する。15日に行われた商工会議所の昼食会で交代あいさつを行い、終了後は記者会見を開いた。
 近藤社長は、2008年から5年間駐在した。同社ではコーヒーを中心とした食品、食料部門に長く携わり、コーヒー輸出大国であるブラジルへはたびたび出張、これまでメキシコに2年、コロンビアに4年と駐在した南米通だ。
 「帰国するのが寂しい。何でも受け入れるブラジルの懐の深さを再認識した」と名残惜しむ近藤社長は、2011年から商工会議所の会頭。任期中には過去最高の会員数を達成したことで、「黄金の10年」を迎えているブラジルの勢いを感じたという。
 「5年の間にいくつかの投資が成就した」と達成感をにじませ、「ブラジルは今後、全ての分野で表舞台に立ってくる。まだまだやりたいことはたくさんあった」と付け加えた。
 帰国後は本社勤務となり、生活資材を扱う生活産業グループで人事コンプライアンスに携わる。「今後は、ブラジルでは見えないものを発信していきたい」と話した。
 「三菱商事としてできることは何でもやりたい」と意気込む黒子氏は、エネルギー関係の専門家。同社では1982年から燃料グループ(現エネルギー事業グループ)で炭素製品の業務に携わり、89年から3年ブラジルに駐在。その後は米国やオーストラリアでも勤務し、メルボルン駐在時には液化天然ガス事業に関わった。08年までロンドンで勤務し、再び当地駐在となった。
 ブラジルの印象については、前回駐在時にコーロルプランを経験したことから「大好きな国だが、一喜一憂せず、長い目で見ることが重要。事業を進める上での難しさも理解している」とした上で、「辛抱強く、楽しく仕事をしたい」と抱負を語った。
 「自分が派遣されたということは、(近藤社長の専門である)食料以外のことをブラジルでやれということ。国の成長を支えたい」と意気込む。
 会社として注力している事業としてエネルギー、インフラ、機械等の製造業を挙げ、「中国やインドも注目度が高いが、文化や宗教で分断が激しい。その点ブラジルは一体感がある国。その気になれば、もっと伸びていくと思う」との前向きな見解を示し、「ブラジルに関心のあるメーカーは少なくない。そういう会社の案内役ができれば」と話した。

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