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■訃報■則近正義さん

ニッケイ新聞 2013年4月25日

 小説や短歌など多才なコロニア文芸人として知られる則近(のりちか)正義さんが24日早朝、入院先のモジ市立ガン病院で老衰のために亡くなった。享年91。葬儀は25日午前9時からモジ市セントロのサンサルバドール墓地で行われる。初七日法要は28日(日)にモジ本派本願寺(Rua Senador Dantas, 886)で午前10時からの予定。
 1922年2月に山口県山口市で生まれ、幼少期を台湾で過ごし、34年に両親に連れられてサントス丸で移住。最初はレジストロ植民地の第2部へ、ブラジル偉人の肖像画を多数描いてサンパウロ州最優秀生徒に選ばれる。
 中学からモジ市に移転して早稲田女学講義録で独学し、文芸活動を始めた。戦時中、官憲の眼を逃れて当時唯一の日本語歌誌『林泉』刊行に関わり、終戦後間もなく『椰子樹』、その後、詩文集『亜熱帯』編集にも携わった。詩で第1回横田恭平賞、小説ではパウリスタ新聞文学賞に2度も輝くなど、多才な文芸人として活躍した。
 養鶏や花卉栽培を本業とする一方で、モジ市文化センタ—会長、リオ・アシーマの農村電化組合理事長も務め、農村部の近代化にも貢献した。

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