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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年5月7日

 ゴイアス州南西部のリオ・ヴェルデで3日朝、空中散布された農薬がトウモロコシ畑に近い学校の上に霧のように降りかかり、教師や職員8人と6〜14歳の子供29人が中毒症状を起こす事故が起きた。農地改革の中で土地なし農民らが定着したサンジョゼ・ド・ポンタルと呼ばれる定住地の学校には、事故当時122人の生徒がおり、目のかゆみや嘔吐、頭痛、呼吸困難などの症状を訴えて病院に運ばれた生徒は42人に上った▼農薬散布にあたった小型機が所属する会社では技術的なミスはなかったというが、農薬が散布された畑は学校から僅か15メートル。風向き次第で学校を直撃する事は充分考えられる距離だが、操縦士は学校があるとは知らなかったという▼この言葉の真偽の程は不明だが、学校の存在を本当に知らなかったとしても、地上散布用の薬を空中散布した責任は誰にあるのか。毒性は中程度の薬だったが、被害に遭った学校は6日月曜日も休校のまま▼消防署職員によれば、これほど大勢の人が中毒症状を起こしたのは過去20年で初めて。農薬散布時にマスクなどを使わずに農薬を吸い込んだ農夫や操縦士が中毒を起こす例は多く、多くの日本移民も自分が撒いた農薬を浴びて体調を崩したりしてきた。それを子供達の頭上から撒いたというのだから非人道的にも程がある。学校が農薬の霧で覆われる事故は前代未聞だ▼周辺地域を通行中だった車の運転手からも被害届けが出ているが、地上散布の薬を空中散布したのは自分達が被害を受けるのを嫌った故か、効率故か。周りの環境や人への配慮を忘れる自己中心な農家では土地や作物もかわいそう。(み)

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