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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年6月8日

 南アフリカのアパルトヘイトやコンゴの内戦と、あの広大なアフリカは弱者として捉えられることが多い。現在も貧困とエイズなどの問題があり、南スーダンには自衛隊が派遣されインフラ整備に汗を流している。だが、サハラ以南の国々も長い眠りからやっと目覚め明るい未来に向け経済活動も躍動している▼先ごろ、東京で「第五回アフリカ開発会議(TICAD)」が開かれ51カ国の首脳が出席し活発な意見を述べ合った。そこで論じられたのは「成長大陸」であり、これまでに促進された先進国からの「支援」ではなく、経済開発などへの連携強化であったのは、まったく新しいものであり、将来のアフリカ像を描く素晴らしいものだった▼この開発会議は日本の主催であり、安倍首相もアフリカ訪問に強い意欲をしめしているし、出席したアフリカ40数カ国の首脳とマラソン会談を行い熱い情熱を語ったのは大きい。開発会議では、向こう5年のうちに最大3・2兆円を支援すると述べ、アフリカのパートナーとして協力したいと強調した▼先にも記したようにアフリカは「弱者」と受け止められがちだが、1900年代からは成長率が5パーセントになり、もはや途上国と決め付けるわけにはいかない。あの地域は天然資源が豊かであり、中国も巨額融資などの動きを見せている。こうした点も視野に入れ日本も連携強化を急ぎたい。あの広い大地には飢餓状況のところもあり、食糧生産への支援や人材育成などやるべき事はいっぱいある。政府が民間企業とも力を合わせ本格的な取り組みに腰を据え、行動へと向かうことを期待したい。(遯)

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