「ブラジル日本移民１０５周年」を祝して＝内閣総理大臣　安倍　晋三

ブラジル日本移民105周年

ニッケイ新聞　２０１３年６月１５日

　「移民の日」を迎えるに当たり、皆様に心からお慶び申し上げます。
　ブラジル日本移民１０５周年という今年、改めて、日本から遠く離れたブラジルの地で、苦難に直面しながらも粘り強く、真摯な努力で成功を収め、社会からも、そしてブラジル政府からも大きな信頼を得られてきた日系人の皆様に、心から敬意を表したいと思います。１５０万人という世界最大の日系社会の存在が日本とブラジルの友好かつ強固な関係に大きく貢献してきたことは疑いがありませんが、それはひとえに、皆様のそして皆様の先人から続く弛まない努力の結晶であり、ここに改めて心からの感謝を申し上げます。
　日本が２０１１年に経験した東日本大震災という大きな困難から２年以上が経過し、未曾有の被害がもたらされた被災地も、多くの人命を失った深い悲しみを乗り越え、復興へと着実に歩みを進めています。私は昨年末に再び日本国内閣総理大臣に就任いたしました。それ以来、日本に強い経済を取り戻すことを重要な目標の一つに掲げており、そして既に活気が戻ってきていることを感じています。
　大きな困難を経験した日本が、再び明るさを取り戻しつつあるのも、世界中の皆様から様々な、支援を頂いたおかげであります。そして日系人の皆様を始め、ブラジル政府等からも沢山の励まし、支援を頂き、遠く離れた地から常に日本を支えて下さっている日系の皆様の存在、また日本とブラジルの強い絆を再認識することができました。ここに、改めて深く感謝いたします。
　今月末にはルセーフ大統領をお迎えし、日伯関係について広範に議論することを楽しみにしています。世界を見渡せば、依然として厳しい経済情勢や複雑な問題が存在する中、国際場裏の様々な場面で存在感と発言力を増すブラジルには、経済のみならず、世界中の人々が注目しています。ブラジルに進出する日本企業の数も、近年増加を続けており、明年のサッカーワールドカップ、２０１６年のリオデジャネイロ・オリンピックといったイベントに向けて、ブラジルへの関心はますます高まっていくでしょう。これからのブラジルの活況を「黄金の１０年」と称する声も聞かれるようになってきました。
　ブラジルは日本にとって伝統的な友好国です。その経済的ポテンシャルと政治的なプレゼンスをもって、グローバルな大国として歩むブラジルが、日本との間で一層の関係強化、相互理解を進めることができるよう期待しています。１００年を越える深くて長い歴史を持つブラジル日系社会の皆様、日本とブラジル双方をよく知る立場におられる皆様が、それぞれの分野で活躍されることが、このような日伯間の関係強化につながるものであると考えます。
　皆様のますますの御活躍と日系社会の更なる御発展をお祈りいたします。