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イビラプエラで慰霊法要=水野龍三郎さんも参列=サ・ゴンサーロ教会でも90人が祈り

ニッケイ新聞 2013年6月19日

 ブラジル日本都道府県人会連合会(園田昭憲会長)の主催する『日本移民開拓先没者慰霊祭』が18日午前、サンパウロ市イビラプエラ公園の慰霊碑前で行われた。
 在サンパウロ日本国総領事館の福嶌教輝総領事をはじめ、各県人会の代表者や日系団体関係者など約80人が出席し、先人の遺徳を偲んだ。
 木原好規和歌山県人会長が司会に立ち、ブラジル仏教連合会の松峯慈晄会長によって焼香が行われ、式典が始まった。
 挨拶に立った園田会長は「日本人の数は減少しているものの、日系人の数は増え、七世の誕生が待たれるほどにもなった。多くの日系人が活躍する世の中になったのも、先輩諸氏の苦労の賜物。後世の世代に残し伝えていくのが我々の義務」と力強く話した。
 続いて、松峯会長ら7人の僧侶によって読経が行われる中、出席者による焼香が行われた。
 〃ブラジル移民の祖〃水野龍の三男・龍三郎さん(82)も会場を訪れ「父は『移民事業は失敗だったのかもしれない』と悩み、苦しみながら死んで行った。だからこそ、ブラジル社会に認められ、立派な役職に就くような人材も排出する現在の日系社会を見て、凄く喜んでいると思う」と感慨深げに語った。
 初めて慰霊祭に出席した福嶌総領事は「気持ちを新たに歴史を振り返る場として非常に意味がある。今日感じた気持ちを忘れてはいけない」と引き締まった表情で話した。
 また、同日午前8時からは、サンパウロ市にあるサン・ゴンサーロ教会でも『先駆者慰霊ミサ』が取り行われ、園田会長、ブラジル日本文化福祉協会の木多喜八郎会長、在聖総領事館の佐野浩明主首席領事らが出席。約90人の来場らとともに、祈りをささげた。
 儀式を司ったアレッシオ・ブローニング神父は「隣人や自分を愛するものだけでなく、自らを迫害する者や敵を愛すること」など福音の教えを説き、来場者は熱心に耳を傾けていた。
 日本移民の100年以上に渡る伯社会への貢献のシンボルとして、野菜や果物(農業分野)、血圧計(医療・産業技術)などが神父らに捧げられ、功績が称えられた。
 式の最後には賛美歌を全員で合唱。それぞれが抱擁を交わしながら、笑顔で会場を後にした。

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