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サンパウロ州アメリカーナで茶室開き=須郷夫婦が文化普及に力

ニッケイ新聞 2013年6月28日

 茶道裏千家ブラジルセンターで40年間茶道を嗜む須郷昭代さん(63、愛知)=茶名宗昭=が23日、アメリカーナ市で「茶室開き」を行った。約170人が来場し、優雅な茶道の点前に見入った。
 3年前、日本建築を手がける山形工芸の斎藤宏4兄弟に依頼し、夫の清孝さん(65、二世)が営んでいた服飾工場「タンポポ」の一角に建設したが、「仕事が忙しくて茶室開きできなかった」。工場を後継者に譲り夫婦そろって退職したことを機に、清孝さんが「本をみながら見よう見まねで」庭を作り、茶室開きにこぎつけた。すでに2人の生徒が通っている。
 司会は、生徒のシルビア・ヘジーナ・ザンコさんが担当。昭代さんは、40年間通い続けた茶道裏千家ブラジルセンターの関係者らに礼を述べ、「アメリカーナで茶道を広めるため、頑張りたい」と意気込みを語った。茶室名は清孝さんの「清」と「照」をあわせ、太陽のように明るく清らかにとの意味をこめ、「清照庵」とした。
 茶道裏千家ブラジルセンターからも、林宗慶代表やエリソン・トンプソン・デ・リマ副会長をはじめ、35人が駆けつけた。会員のバデルソン・デ・ソウザさんは、「茶席は宇宙の縮図。人間を調和、敬意、平和のある状態に導いてくれる」など、非日系にもわかりやすく茶道の哲学を説明。また、茶席が始まると、入室からの一挙一堂を解説した。
 興味深そうに茶席に見入っていたシモーニ・ファタルさん(40)は、「すばらしかった。私は仕事が忙しくて習えないけど、主人が始める予定」と話した。エルシ・ペリソンさん(61)は、「心の平和を追求するところが素敵。私もやってみたい」と意欲を見せていた。
 清孝さんは「妻は40年間、言葉も分からない国で苦労した。これからは夫婦で楽しく、日本文化を広める活動をしていきたい」と笑顔を見せた。
 教室の住所はRua Joao Missio, 242, Campo Limpo、問い合わせは19・3468・2235。

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