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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年8月24日

 今の日本には「 き酒師」や「酒匠」という清酒と焼酎に詳しい方々がいるそうだ。日本酒サービス研究所が実施している試験に合格した人たちで「 き酒師」は3万人近く、「酒匠」は難関であり160人と少ない。いわばワインのソムリエであり日本酒の知識が豊富で、料理と酒の組み合わせや酒器の選び方などを教えたりするプロである。と、酒造業界も、清酒の普及に一所懸命だけれども、現実の情勢は厳しい▼どうしたわけかは不明ながら、さっぱり「日本酒ブーム」が起こらないのである。この5、6年で全国の蔵元が2300軒から1400軒に激減しているのを見ても、清酒の人気のなさがわかろうと云うものである。しかも、我ら熟年組には想像すらできないのだが、あの薩摩などの焼酎はよく売れており、清酒の消費量よりも多いと耳にし魂消ている▼近頃は東洋街の店にも日本の銘酒がずらりと並び、我らが地酒とも呼ぶべき東麒麟も大吟醸を売り出したりと—少々値段が張るのは痛いとしても、何とも賑々しいのは大いに喜びたい。だが、こうした日本酒の海外進出は、国内が不振なので外国へとなったのではないかと、勘ぐりたくもなる。まあ、ピンガも良いのは1本が100レアルも珍しくはないし、ここは日本酒の売値も相場と諦めるしかないのかも知れない▼しかし—酒の価格などを問うてはいけない。日本にも「それほどにうまきかと人のとひたらばなんと答えむこの酒の味」と詠み酒仙といわれた若山牧水は、草鞋ばきで放浪し、酒を呑みながら44歳の生涯を閉じた。こんな人生もまた楽しからずや—である。(遯)

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