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ロンドンにブラジル人30万人?!=イシ教授「英国の伯系紙活況」

ニッケイ新聞 2013年8月30日

 武蔵大学社会学部のアンジェロ・イシ教授(46、在日ブラジル人一世)が8月13〜15日にアルゼンチンのラプラタ国立大学で行なわれた「ラ米におけるアジア・アフリカ学学会」(ALADAA)に出席して在日ブラジル人に関する講演をした後、「在外ブラジル系メディアとブラジルの日系メディアの展望」調査をしに月末まで帰聖、その一部を語った。
 亜国の前に立ち寄った英国ロンドンでは、幾つものポ語新聞社を調査した。「ロンドン近郊で軽く10紙はある。しかも全部黒字で景気の良い話ばかり。編集長、経営者みな表情が明るい。日本のブラジル系メディアには感じられない活気があった」と振返る。08年の金融危機以降、在日ポ語新聞は広告が集まらず、次々に紙印刷版を廃刊した経緯がある。
 大ロンドン都市圏には〃ブラジル人街〃が形成され、「書類代行業者、引越し業者、レストラン、食材店、新聞社などが狭いエリアに集まっていて、まるで群馬県大泉町を髣髴とさせる」とイシさんは表現する。
 同教授の分析によれば、90年代には米国に不法滞在するデカセギブラジル人が圧倒的に多かったが、9・11NYテロ以降、締め付けが厳しくなった。その結果、「米国ほど厳しくない英国に多くが移り住んでいる」と見ている。さらに「ロンドン近郊だけで30万人もいるとの説すらある」と驚くような数字を挙げる。であれば、デカセギ全盛期の在日ブラジル人に匹敵する数がロンドン近郊に集まっていることになる。世界のブラジル人系メディアを通して、どんな国際人流が読み取れるのか。興味深い調査が進んでいるようだ。

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