ホーム | 日系社会ニュース | 夢はコロニアで漫才披露=ハーフ芸人植野行雄さん=『月9』ドラマにも抜選=母はミナス日語校元教師

夢はコロニアで漫才披露=ハーフ芸人植野行雄さん=『月9』ドラマにも抜選=母はミナス日語校元教師

 ブラジル人と日本人のハーフで、日本のお笑いコンビ「デニス」の植野行雄さん(32)が、フジテレビ月曜午後9時枠のドラマ『海の上の診療所』(日本時間14日午後9時スタート)に日系ブラジル人の航海士役で出演する。同局屈指の人気ドラマ枠である「月9」へのブラジル人ハーフの出演は初めてと見られ、日本でも話題となっている。母・潤子さんはミナス州ベロオリゾンテの日本語モデル校の元教師。植野さんは本紙のインタビューに対し、「ブラジルの日系社会の皆さんにまで届く活躍をしたい」と意気込みを語った。

 「ブラジル人顔」でありながら日本語しか話せないギャップから体験したエピソードを使ったネタが受け、昨年頃からメディアへの露出が急増。現在は「ハーフ芸人」として多くの番組に出演するブレイクを果たした。
 父のフェルス・デニスさん(故人)は、ベロオリゾンテ出身の非日系人で、カナダへの留学生同士だった潤子さんと結婚。植野さんは同国モントリオールで生まれた。 1歳のとき両親について大阪へ移ったため、ブラジルでの居住経験はないが、過去4回の訪伯経験がある。「言葉のわからない自分に、日系の方々は本当に良くしてくれた。日本から一番遠い地で食べた日本食は最高だった」と話す。
 植野さんが成人した後、両親は2003年から6年間ベロオリゾンテに滞在した。同地日本語モデル校の教師で、潤子さんとも共に働いた宮本君代さんは、学校を訪問した植野さんについて「関西弁丸出しの面白い青年。とても感じの良い人」と懐かしげに印象を語る。
 テレビでの活躍も知っており「社交的で皆に好かれていた潤子さんの息子だけに、生徒たちもネットで動画を見ていて人気がある。私の孫も大好き。学校関係者は皆応援している」と声援を送った。
 自身初のドラマ出演となる『海の上の〜』は、瀬戸内海の無医島を巡り、医療サービスを提供する診療船「海診丸」の奮闘と、主人公の医師・瀬崎航太(松田翔太)が各島で繰り広げる美女との交流を描いたヒューマン・ラブストーリー。植野さんは、海診丸の航海士・山中カルロス洋平役を務める。
 「底抜けに明るくちょっと間抜け。でも愛される山中は、まさにブラジル人のイメージにぴったり。自分にしか出来ない役どころ。何より親しみある日系人の役だけに気合が入る」とやる気は十分。
 「ブラジル人の血は誇り。関連する仕事も増える中で、これまで以上に父の母国を知りたいと思うようになった。機会が作れればぜひブラジルで仕事をしたい。夢は日系の皆さんの前で漫才をすること」と熱く語った植野さん。今後の活躍に期待が集まる。

image_print