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被爆者らと意見交換に=裁判担当の足立弁護士ら来伯

3月10日(水)

  【既報関連】「在ブラジル原爆被爆者裁判」担当の足立修一弁護士と広島共立病院の青木克明院長が八日に来伯、被爆者らと今後の方針について意見交換する。滞在は十二日まで。
 同裁判の原告十人のうち、森田隆在ブラジル原爆被爆者協会長ら七人が二月末に訴えを取り下げた。しかし、被爆者手帳や手当の申請は居住国で可能とはなっておらず、「残された課題は多い」(森田会長)。
 足立弁護士は「(国の態度が軟化しているといっても)、日本在住の被爆者と同等に扱おうという姿勢に欠ける」と糾弾する。
 手帳がなくても、被爆者確認書を所持していれば医師団の治療を受けられる。少なくとも手帳のない会員に対して、確認書を発行するよう、行政側に働きかけていく考えだ。
 北米の被爆者二人が昨年十二月に提訴。一人は居住国での手当の申請、もう一人は、死後の葬祭料の支給を求める。森田会長は会員を含めて、これらの裁判に追訴する考えがあることを改めて、示唆した。
 共立病院は二年ほど前から、渡日治療の患者計百三十人を受け入れた。うちブラジル移住者は二十四人。追跡調査のため、青木院長が来伯した。
 帰国後、継続して治療を受けられているかが、最大の懸念材料だ。「自己負担率が、かなり高いと聞いていますから」と眉をひそめる。
 会員の一人は「ブラジルに戻って五カ月ほど経つが、順番待ちまだ検査を受けられないでいる」と表情を曇らせて訴えた。
 「日本に来られない人のためにも、現地で治療を受けることができるような態勢をつくることが必要。要は国にやる気があるかどうかの問題です」と青木院長は語った。
 足立弁護士は十二日午前十時から午後四時まで、サンパウロ市サウーデ区アベニーダ・ジャバクアラ街一六四〇番の日本食品店、「スキヤキ」で無料の法律相談を受け付ける。希望者は事前の予約が必要。問い合わせ電話番号=11・5589・9594。

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