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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年10月16日

 ブラジルでは半数を超える世帯が収入以上のお金を使っている—。ニールセンという調査会社によると、11年の52%よりわずかに減ったが、12年も51%の世帯が収入以上のお金を使って生活しているという。日本人なら「ない袖は振れぬ」と言いそうだが、この現象の背後には、一度覚えた贅沢の味は忘れられない等、様々な要因があるようだ▼12年の場合、消費者が購入した品物の量は全体で2・6%減ったが、購入額はインフレを差し引いても1・9%増えた。量と金額の両方が減ったのはお菓子などの甘いものだけで、それ以外は、量は減っても金額が増えた▼専門家によれば、これらの数字からは金融危機などで実質所得が目減りするという現実に直面した消費者達が、購入する商品の質は落とさず、数だけを減らしている事が伺われるという。この話を聞いて、数年前読んだ、自家用車を持つ事や鶏肉やヨーグルトを買う事で中流階級に仲間入り出来たと考える人がいるという記事を思い出した▼柔らかい紙質のトイレットペーパーに慣れた人は、以前なら文句も言わずに使っていた固めの紙のものには戻れない、アイスクリームやビスケットはあのメーカーのものがよい等々、一度到達した生活レベルを引き下げるのは容易ではない。運動選手なら、あの時は出来たんだから、いつも出来るようにならなければと考えて練習に励む事もありだが、収入が目減りした時は、転職したりアルバイトをしたりしなくては以前の生活レベルを保てない▼Eクラスでも生クリームやマヨネーズに次いで市販のジュースが当たり前になり始めたというが、真の豊かさの基準はどこに?(み)

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