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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2013年10月17日

 大型台風が日本を襲っている頃、コラム子はサンパウロ市で渋滞に巻きまれていた。どこかで事故があったらしいが、「どこで事故があって、正常化まで何分かかる」という説明もなく、バスの運転手も乗客も無言で待っているだけ。通勤ラッシュの時間帯なだけに、車内に無力感が充満していた。
 当地の悪しき交通事情は、無計画な町作りやいい加減な運転等による人災だと思うが、皆怒りのやり場がないのだろう。ブラジル人は「自然災害に冷静に対処する日本人がすごい」というが、逆に彼らは渋滞、強盗、殺人、汚職等々、日々の人災によく耐えているなあと感心することがある。
 日本にいた頃は戦争や犯罪に悩む諸外国を野蛮だと思っていたが、日本を外から見るとあまりの天災の多さに愕然とするようになった。日本のあわせ鏡のような当地にいると、自国を客観的に見る目が育つようだ。(阿)

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